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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-3 第9話
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を美しい状態で城まで送り届けたいということ、そして、独り旅でないひとときを少しでも味わいたかったのだ。独り旅は、やはり寂しかったのだ。
「はい。喜んで。あ、私、実はホイミが使えるのですよ。……お願いです、この勇者様の傷を癒してください、ホイミ」
すると、少しではあるが、ハルカの傷は癒えた。
「あら……本当はもっと傷を癒せるはずなのに……長い間ここにいたから魔力が落ちたのかしら……」
思っていた結果ではなかったと、少し悲しそうな顔をするローラ姫に、ハルカは微笑みながらローラ姫の頬に優しく手を当てた。
「僕は十分満足ですよ。もう少しいい環境で休めば、魔力は戻ってきます。……さて、リムルダールへ行きましょう。あそこには腕のいい仕立て屋がいます」
「ええ。知ってますわ。温かい、ハルカ様」
「そうですか。そういわれたの、初めてです。……なんだか、照れくさいですね」
「うふふ。私もですわ。ありがとうございます、ハルカ様」
「どういたしまして」
ハルカは自分が身に着けていたマントをローラ姫に掛けた。
「仕立て屋につくまでの辛抱ですよ」
「はい、ハルカ様」
ハルカはローラ姫を抱え、リムルダール方面へと向かっていった。
その時の2人の表情は、優しい笑みだった。

洞窟の外へと出たと同時に、レミーラの効果が切れた。
ローラ姫はハルカにお姫様抱っこされていた。
「あの、私、重くないですか?」
「全然。むしろ心配なくらい軽いです」
「ハルカ様……」
顔を赤らめたと同時に俯いた。
ローラ姫は驚くほど軽かった。まだ顔つきは可愛らしさはあった。しかし、よく見ると、少しだけやせこけているようにも見えた。体のぬくもりはあったが、触れた手は、弱々しいものであった。
「ローラ姫、辛かったんですね。ああ、もっと早くあなたを助けたかった。でも僕は前にあのドラゴンに負けてしまったのです。だから、鍛えなおしていたんです。すいません、遅れてしまって」
本当はもう少し早く助け出せたかもしれない、ハルカは少し悔しそうに、そしてすまなそうに言葉を発した。
そんな様子を見て、ローラ姫は優しく微笑む。
「いえ、ハルカ様、そんなことはありません。このままあの湿った洞窟で一生を終えるのかもしれないと思った所を、救ってくださった。遅いだなんて思っていません。助けてくれた人がいる、それだけで私は嬉しいのです。本当に、本当にありがとうございます、ハルカ様」
そしてローラ姫は優しくハルカの頬に口づけをした。
ハルカははにかみながら、「どういたしまして、ローラ姫」と額に優しく口づけをした。ローラ姫は頬を紅色に染めて微笑む。
ハルカの心は何か温かいもので満たされていた。
(僕は……誰かと共に旅をしたかったんだ。その願いが、一時だけだけど、叶った。こんな素敵な形で)
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