病み六花の自己中が解放される時・後編
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(マナの馬鹿、マナなんて知らない。マナなんて……)
六花はベッドにうずくまり、組んだ両膝に顔を埋めて、マナへの恨めしい気持ちばかりを煮つめていた。
体が熱っぽくなって、どことなくだるい。
学校には風邪で休むと連絡を入れたが、それ以上にマナに対する感情の方がよほどドロリとして、黒く煮詰まり沸騰している。体調など関係なしに、最初から学校へ行くような気分ではなかった。
マナは酷い。
他人には構っておいて、六花のことは放っておいた。
酷い、許せない。
腹の底から黒い感情が沸き立って、マナへの憎憎しい気持ちが膨れ上がる。
そんな時だ。
ピンポーン
インターホンの音だ。
「六花! ゴメン! 昨日のこと謝りに来たの!」
マナの声が、窓を通じて響いてくる。
カーテンの隙間から覗いてみると、そこにはこちらを見上げるマナの姿があった。
どうして、今更来るんだろう。
来て欲しかったのは、昨日だ。
昨日の待ち合わせ通りに時間に、ちゃんと来て欲しかった。
「お願い六花! 出てきて!」
マナはきっと、そうやって六花が出てくるのを待つ気なのだろう。自分は待ち合わせ通りに来なかったクセに、安々と出てきてもらおうだなんて、虫のいい話だ。
「何でもするから! ちゃんと反省するから!」
何でもする? 反省する?
(……そっか。私じゃなくて、マナがこっちへ来ればいいんだ)
六花はゆっくりとカーテンを開き、窓を開いて顔を出す。
「六花! 本当にごめんなさい!」
マナが自分に頭を下げた。
「許して欲しい?」
「もちろん、簡単に謝って済むとは思わないけど、埋め合わせるだけのことはしてみせるから!」
そうか、埋め合わせてくれるのか。
黒々とした重いがねっとりと糸を引き、腹の底を満たしていく。
「じゃあ、鍵を開けるから。マナ、で上がってきて?」
「うん、わかった」
足をふらつかせながら、六花は階段を下りて一回へ。玄関の鍵を開けて、ドアを少しだけ開けて顔を出す。
「来て?」
「うん。お邪魔します」
マナを家にあげた。
そして、さりげなく廊下の前を歩かせ、六花自身はマナの後ろへまわり――
――ゴツンッ
用意していた分厚い本で、マナの後頭部を殴打した。
*
頭がズキズキする。
自分は一体、いつのまに眠っていたのか。確か六花の家へ行ったはずなのに、どういうわけかベッドの上で目が覚める。
「って、あれ? 六花の部屋」
見上げた天井から、自分が六花のベッドで目覚めたことを理解する。
それだけでなく、肌全体がすーすーする。やけに全身に外気があたるかと思えば、その体からは一切の服が取り払われていた。
「これって、私裸なの!?」
服だけじゃな
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