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SAO─戦士達の物語
GGO編
百二十話 導く温もり
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「そうだ、二人とも」
「ん?」
「あ?」
「これ、頼まれていたものだ」
言うと、菊岡は二人の前に一枚のメモを差し出した。

「死銃……いや。赤目のザザこと新川昌一は、捜査員がキリト君からの質問だと伝えると、迷わず答えたそうだ。それに加えて、涼人君のメモ。あれを捜査員が読んだ途端、凄まじい形相でそのメモを睨みつけたらしい。それで……二人に対してメッセージを返せと要求してきた。勿論それを君等が馬鹿正直に聞く必要はないし、そもそも被疑者のメッセージなど外部にはもらせる筈も無いので公式には警察内部で止まるものだが……どうする?聞くかい?」
「「…………」」
和人と涼人の二人は、一瞬目を合わせるように互いを見ると、同時に菊岡に向き直り、同時に言った。

「「いや。いい」」
「……そうかい?それじゃ……」
菊岡は胸ポケットから取り出しかけていたもう一枚の紙切れをポケットにしまいなおして、店から出て行った。

────

涼人は、これからとある用事により、詩乃と美雨を御徒町のダイシー・カフェにつれて行くため、車の中に乗せて運転をしていた。

「ねぇ、りょう兄ちゃん」
「ん?」
助手席に座った詩乃に不意に話しかけられ、涼人は信号が変わるのを待ちながら、返事をする。

「新川君のお兄さんに当てたメモって……何書いたの?」
「あぁ?」
「あ、それ私も気になる!」
後ろから顔を出した美雨が元気よくそんな事をのたまい、立て続けに言った。

「赤目のザザを怒らせるって、涼人君、一体何書いたの?」
「んー……」
その問いに、涼人は考え込むように一瞬上向いて……

「別に、大したことじゃねぇよ」
ニヤリと笑いながらそう言って、車を発進させた。


恭二の兄……赤目のザザへと当てたメモ。
その内容は、リョウコウやキリトにとってはごくごく簡潔で、そしてザザにとっては非常に、屈辱的な物だった。


──テメェは此処で幕引きだ。あばよ。三流役者──


────

「……ここ?」
「おう。此処だ」
「何か“隠れ家”って感じだね〜」
そんな事を言っている二人に苦笑しつつ、和人がドアを開ける。かららんっと言う音と共に、中から溢れだしてきたコーヒーの匂いと、スロージャズの音に誘いこまれるように中に入ると、オレンジ色の光に照らされた子の温もりを感じる良い雰囲気の空間に、四人は包まれた。

「いらっしゃい」
相変わらずの低いバリトンボイスで彼等を出迎えたのは、カウンターの向こうに立つチョコレート色の肌の巨漢。エギルだ。そしてその後から……

「おっそーい!!」
そのほぼ逆方向に先客として座っていた、和人や涼人、美雨と同じ制服の三人の少女の内、茶色っぽい髪をはねつけた少女が、和人と涼人に向けてスツールか
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