GGO編
百二十話 導く温もり
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なかった事に関しちゃ、個人的にはお前に賞賛送りてぇくらいなんだ。そう卑下にするばっかりなもんでもねぇさ」
なっ?と言って二ヤリと笑った涼人に和人は泣き笑いするような表情で苦笑しながら返した。
そうしてもう一度真剣な表情に戻ると、再び菊岡に向き直る。
肩をすくめて、涼人が尋ねた。
「それで、ジョニーの馬鹿は何ていってんだ?」
「それなんだがね……彼は、まだ逮捕されていない」
「あぁ?」
「朝田さんのアパート近くの交番に、恭二が出頭して、更にその四十分後には昌一も身柄を拘束された。でもその昌一の供述で更に二時間後に金本の自宅に捜査員が踏み込んだ時には、部屋は無人だったそうだ。ちなみに被害者であるペイルライダーの家から、金本部屋で発見された物と同じDNAの毛髪が見つかっているから、彼がペイルライダーを殺害したのは間違いないだろう」
「…………」
イラついたような顔で黙りこむ涼人に苦笑して、菊岡は黙った。
「で……?んじゃ何か、ジョニーの馬鹿はまだ毒薬持ってんのか」
「そのようだね。昌一も、金本には注射器本体のほかに薬品のカートリッジを二本渡したと供述している。天松さんの家にすら入って居ない以上、使っていない一本は彼の手の中に有るとみて良いだろう」
「ったく、ぞっとしねぇぞ……って、ん?おい、ちょっと待て、天松の家にも入って無いってのはどう言うこった?」
「「あっ」」
気が付いたように眉をひそめて身を乗り出した涼人に、菊岡と美羽は思い出したように声を上げた。
「あっ……って、いや、あじゃねぇだろ。どう言うこった」
「あぁいや、そう言えば説明し忘れていたけど、天松さんの家には、実は実行犯は進入して無かったみたいなんだ」
「はぁ!?」
涼人に素っ頓狂な声に苦笑しながら、今度は美雨が続けた。
「その、実はウチの鍵、あの日だけキーレスじゃなくて普通の鍵使ってたみたいなんだよね……それで、入れなかったみたい」
「いや、みたいってお前……」
そんな下準備もせずに、彼らが計画を実行しようとするとは思えず、涼人は慌てて菊岡の方を見る。相変わらず苦笑しながら、菊岡は言った。
「いや、実は元々、天松さんは標的では無かったそうなんだよ」
「なにぃ!?」
「本来の標的は、《ギャレット》と言う別のプレイヤーだったんだそうだ。と言うか、この名前に君は聞き覚えが有るんじゃないかな?」
「あ?あっ……!」
行き成り聞かれて少し考え、思い出した。
BoBの、予選三回戦。戦艦大和の上で倒した、あのカウボーイハットの男……
「そうなんだよ。元々彼等は、ギャレットの方を狙う予定だったんだ。でも優勝候補であり、BoB本戦に出ない等と言う事は先ず無いと思われていたその彼が、在る女性のような男性プレイヤーに倒されてしまった。つまり…
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