GGO編
百二十話 導く温もり
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。と昌一も話していたと言う。
さて、二人はその後、死銃としての計画と実行を行うわけだが、そのキッカケとなったのは例のボロマント……《メタマテリアル光歪曲迷彩》付きマントを手に入れた時なのだと言う。
日本円で三十万ちょっとのそれを父親から与えられていた生活費で購入した昌一は、初めは、プレイヤーを気付かれずに追跡していくのを楽しんでいたらしい。
しかしそれがやがて独りのプレイヤーが総督府の端末でリアル情報を入力し始め、思い付きで昌一が双眼鏡を使った時、大きく意味合いの違う行動へと変化した。
其処からは、まるで連鎖パズルのような偶然性と必然性の絡み合った出来事の連続だった。
昌一がそのまま他人の住所の盗み見を続け、恭二がゼクシードのせいで自分のGGOにおけるキャラ作成が行き詰っていると昌一が洩らし、
偶々昌一が手に入れた十六人の個人情報データの中にゼクシードの物が有り、そうして、まるで言葉遊びのように、少しずつ机上のハードルがクリアされて行き、やがて出来あがったのが、死銃計画だった。
「バーチャルとリアルの境に。ってか」
「ある意味で、ザザはその場所に今も居るのかもしれないな……SAOでも、これはゲームだから。と言いながら彼奴は本当に人が死ぬと知ってるからこそあそこまで殺人に魅せられてたんだ。言ってしまえば、彼奴にとっては自分にとって都合の悪い部分だけがリアルじゃない物だったんだろうな……」
涼人の言葉に、和人が考え込むようにしてそう言った。
「現実が、薄まる……か」
呟く和人に、菊岡は興味深そうに聞いた。
「ふむ……君達の現実は、どうなんだい?例えば……キリト君とか」
「……多分、いや。あの世界に置いてきた者は、存在する。だから、俺の現実の質量は、多分少しは減少している……と思う」
苦笑交じりに言った和人の目を見ながら、菊岡の眼鏡がきらりと光った。
「戻りたい。とは思うかい?」
「聞くなよ。そう言うの、悪趣味だぜ」
「……そうかなぁ?」
「え?」
和人の言葉に反応するように、高めの声が響いた。美雨だった。
青い眼鏡の向こうで少し悪戯っぽく微笑みながら、彼女は滔々と言葉を紡ぐ。
「私達の現実の質量が減少してるなんて事、無いんじゃないかな?……だって、VRであれリアルであれ、どんな世界でも私は常に一人しかいないんだもん。SAOの中で感じた悲しさも、後悔も、GGOの中で感じた怖さも、嬉しさも、楽しさだって、全部今の私の中に残ってるよ?……なら、きっとどんな世界を旅しても、其処に質量を置いてくるなんて出来ないんじゃないかな?私達の現実は、私達が今此処に居る場所にあるんじゃない?」
「……そうね」
コテンッ首を傾げた美雨に同調するように、詩乃が言った。
「仮に今いるこの場所
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