GGO編
百二十話 導く温もり
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る。
詩乃が震える手でそれを受け取ると、ニパッと笑った少女は、たどたどしいながらも、はっきりと、一音一音の、言葉を紡いだ。
「しのおねえさん、ママとみずえを、たすけてくれて、ありがとう」
その言葉は、他の何よりも強く、詩乃の心に響き渡り……他の何よりも温かく、詩乃の心を溶かした。
溶けた心の氷が、水となって溢れだし、瞳から、頬を伝って流れおちる。
胸の内で、水色の髪の少女が、あの世界では有りえない筈の、蒼い蒼い空を見ている。
まるで、晴れた心の内を見るように。
詩乃は、思う。
“生きる”と言う事には、間違いなく、苦しみが伴い続ける。
この現実と言う世界に伸びてゆく先の見えない暗い暗い道は、とても険しい。
けれどその上には、青空が広がり、歩みゆく暗い道を照らしている。
きっと、この世界は、そんな場所だ。
ならば、歩き続ける事は出来る。今の私は、心から、そう思える。
きっと、つないだ手と、涙から伝わる温もりが、私を導き続けてくれるから。
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