GGO編
百二十話 導く温もり
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「……そうかよ」
白く光を反射する眼鏡の片側からその瞳を覗かせて、菊岡はにこやかに笑った。その瞳は明らかに、「何かを知っている」事を、涼人に訴えかけてきている。
これ以上聞いた所で、無駄な話だろう。そう判断して少し息を吐き、涼人は黙った。
「納得して頂けたみたいで何よりだよ。さて、みんなも来たようだ」
「…………」
黙り込むリョウの後ろで、店の入り口が開く音が響き……
「おーい!キリト君、こっちこっち!!」
再び菊岡の、雰囲気をぶち壊す大声が響いた。
――――
「なんだよ天松、お前カズ達と一緒だったのか」
「うん。すぐ其処でバッタリ!」
和人、詩乃、そしてアイリこと天松美雨が揃い、菊岡と詩乃、美雨の自己紹介と挨拶を一通り終えて注文を済ませると、開口一番に涼人がそんな事を言い、美雨はコクリと頷いて返す。気のせいかも知れないが、アイリの時と比べると大分大人しいような印象を受ける。まあその代わりに低い背丈の中で身長に行く分の栄養を全て其方に取られたのではないかと思うほどデカい胸部が充分に自己主張しているが。
と、別にそれに対してではないだろうが、不意に涼人の右前に美雨と隣り合って座っていた詩乃が、不機嫌そうに和人を見て言った。
「あ、そうだ。りょう兄ちゃん、ソイツに常識を教えておいて」
「は?」
「おい、おいシノン!」
行き成りの発言に何の事か分からず、涼人は首をかしげる。
「なんだ藪から棒に」
「あ、いや。兄貴」
「そいつ、私の事迎えに来るって言って、学校の前でバイク止めて待ってたのよ」
「……はぁ?」
詩乃の発言に、涼人は素っ頓狂な声を出した。
考えてみていただきたい。自分の学校の校門目の前に、バイクを止めたまっ黒黒すけな男が居たら……まあ普通は引くだろう。
「カズ、お前なぁ……」
「いや、別にそう言うつもりは無かったんだって!只その……高校にも行かなかったからそう言う知識に疎かったと言いますか……」
「中学には行っただろうが。お前がっこの校門前にバイク止めた黒ずくめが居たらどう思うよ」
言うと、和人は少し考え込むように虚空をみた後、俯いて後ろ手に頭を掻いた。
「それは、まぁ……怪しい奴ですね。ウン」
「その怪しい奴だったのよ。さっきのあんたは」
「ったく、少し考えりゃ分かんだろうがよ……」
「悪かったよぅ……」
立て続けに責め立てられた和人はがっくしと行った様子で肩を落とし、涼人は額に手を当ててはぁ……と溜め息を吐く。
と、ほわわんと笑いながら美雨が言った。
「三人とも、仲良しだねぇ。二人共涼人君の弟妹分だし、当たり前なのかな?」
「そう?少なくともコイツには今怒ってるんだけど」
「悪か
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