暁 〜小説投稿サイト〜
私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第7話 最後は封印して終わりですよ?
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はずの彼女が、美月の召喚に応えてくれたのか、などの疑問点は残りますが。

 そして、夜と、入浴中と言う状況に相応しい静寂の空間が訪れた。

 天井で冷やされ、湯気から雫に戻された水滴が、再び湯船へと戻り来る。
 その際に発せられる細やかな音色と、刹那の世界に王冠にも似た形が作り上げられた。

 高い小さな窓から覗くのは、月と春の夜空だけ。
 余計な騒音もなければ、煩わしさもない、ここしばらくは忘れていた平和な夜。

「ねぇ、ハクちゃん」

 再び湯船の表面を叩く水音。
 その音に重なる美月の問い掛け。
 問い掛けが天井。そして、壁に反射され言葉を発した美月自身と、そして、問い掛けられたハクの耳に遅れて届いた。

 僅かな水滴の音を伴って……。

 そうして、

「あたしの呼び掛けに、応えてくれてありがとうね」

 普段よりも小さな声で、美月はそっと囁くようにそう口にしたのでした。


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