第7話 最後は封印して終わりですよ?
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れ物に過ぎない存在で有った物が、その瞬間、祠の周囲を囲むように張られた注連縄から異質な……。ハクが創り上げる禊の空間にも似た雰囲気を発し始めたのだ。
「かしこみ、かしこみ、もうす」
そして、最後は小さく消え行くように唱え終わる美月とハク
余韻は僅か。
そう。そして祠自身は、先ほどのイケメン男性が何かを行った時のように震動を開始する訳でも無ければ、それ以前のように霧。……此の世と彼の世の境界線を指し示す天之狭霧神を発生させる訳でもない。
見た目はまったく変わりのない通常の小さな祠。
しかし……。
しかし、注連縄に囲われた祠から発せられる雰囲気は変わった。
それは、明らかなる聖域のそれ。清にして烈なる神が発する神気に等しい雰囲気で有ったのだ。
「それじゃあ、俺は西区画の箱庭第六桁711075外門のノーネームのリーダー、縁間紡。
こっちに来る事が有ったら、一度、寄ってみてくれ」
どうやら、このギフトゲームの本当の終了は、先ほどの祠の修復までが本当の終了だったと言う事だな。
そう考えながら、ここに連れて来られた瞬間と似た感覚に包まれた紡が、別れる、……瞬間移動させられる間際にそう言った。
そう。厳しいゲームだったが、それでも、面白いゲームで有った事は間違いない。
「俺が住んで居るのは西区画の箱庭第六桁711071外門。出来る事なら、こっちの方に先に来て欲しいな。紡の所に行く前に」
同じように、この黄泉の国に向かう道から自らが転移させられつつ有る事を感じながら、一誠もそう言った。
本当はもう少し話したい相手では有った。
ハクが何処からやって来たのか。コミュニティをどうやって立て直して行く心算なのか。
そして、あの時、冥府への道を開いた青年と、彼を迎えに来た青年との関係を。
しかし……。
「またな」
異口同音に告げられる二人の言葉。
今は、これだけで十分。さよならではなく、また出会う日を約束する言葉。
その二人の約束の言葉を聞いたハクが柔らかく。そして、美月は華やかに微笑む。
そう。その二人の意図は通じたから。この場で共に戦った仲間に別れの言葉は必要ない。
そうして、
「御助力感謝して居ります」
少し時代がかった古風な台詞で答え、そして、頭を下げるハク。
その動きに重なる鈴の音。ここに来てようやく、微かな鈴の音色にまで気を向ける余裕が戻って来た事に気付く紡と一誠。
そのハクに続いて、
「じゃあ、またね」
こちらは非常に現代風な別れの挨拶を行う美月。
その二人からは、暗い洞窟の中には相応しくない明るい陽の雰囲気と、そして、微かな花の
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