第7話 最後は封印して終わりですよ?
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全に閉じ、そこから漏れ出して来る邪気を封じて、黄泉比良坂を正常な状態にする必要が有ったと言う事か」
少し首肯きながら、独り言のように紡が呟く。それに、先ほどまでのここ黄泉比良坂の雰囲気を思い返せば、その異常さは納得出来ますから。
そしてそれが、人間が生きて居る世界に絶対に影響を及ぼしていない、とは言い切れない事も。
ここから漏れ出していた邪気が徐々に世界を侵食していたと考えるのならば、美月たちの住む村に悪い影響が出ていたとしても不思議では有りません。
そんな一同が見ている目の前で、扉の部分が壊され、内部が簡単に覗き込めるようになった祠の前に立ったハクが、その祠の周囲を一周、何事かを細かく調べるかのように周りを回った後に、屈みこむようにしてその内部を覗き込む。
彼女の視線に釣られて、同じように祠の中を覗き込む一同でしたが、しかし、其処には普通の木製の板が存在するだけで、それ以外の何モノも見付け出す事は出来ませんでした。
そう。先ほど、洞窟内の視界を閉ざしていた霧を発生させていたとは思えない程の、何の変哲もない空っぽの木箱状態。
そんな、何と言うか、妙に空虚な。そして、少し笑って仕舞うしか方法がないような、奇妙な現実が其処には存在して居るだけでした。
横顔に、少し納得したような表情を浮かべたハクが立ち上がり、再び、周囲を見回す。
但し、今回は明らかに何かを探している様子。
「何を探しているの、ハクちゃん?」
この状況下で、イマイチ空気の読めない、我が道を行く的な行動を見せているハクに対してそう問い掛ける美月。
確かに、彼女が現在、何を探しているのかもおおよその見当なら付くのですが、それでも、その理由が……。
いや、もしかして、彼女は……。
そんな美月からの問い掛けに対して、普段通りの淡い微笑みを見せた後、
「このまま、祠を壊れたままで放置する事は出来ませんから――――――」
☆★☆★☆
「古き産土神社崇め奉る御社に納め奉らんとして」
ホール状となった洞窟内の空洞に、二人の巫女の唱和が響く。
美月とハクの白く、繊細な印象を受ける指が柔らかく、そして流れるように印を結び、
「弥代の幣帛たてまつり、平けく、安けく、聞こしめして……」
美月の高音域に伸びの有る声と、低く柔らかな音域のハクの声音が祝詞を唱え、
そのひとつとなった祝詞が、ホールの天井に、床に、そして壁へと反射され、独特の音階を奏でながら広がって行く。
「夜守り、日守りに護り給ひ幸へ給えと」
刹那、祠から発せられる雰囲気が変わった。
それまでは何の変哲もない木製の入
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