第二幕その二
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第二幕その二
「彷徨える彼等の歩みを導き危難の中で彼等を忍耐強く鍛え給え」
「その忍耐こそが」
「彼等を導く」
「そう。その試練の成果を彼等に見させ給え。されど彼等の命果つならば」
「その時は」
「一体」
僧侶達はザラストロにさらに問う。
「どうなるというのでしょうか」
「その時は」
「雄雄しく徳を求めし志を賞賛し彼等を御身等の住いに」
こう言ってであった。彼等を試練に導くことにしたのだ。
そしてだ。タミーノとパパゲーノは寺院の中の一室にいた。そこで話をしていた。
「ねえパパゲーノ」
「何ですか?」
「僕達はどうなるのだろうか」
こう彼に問うのだった。二人はそれぞれベッドの上にいる。部屋の中は簡素でベッドの他は机とテーブルだけである。他には何もない。
「一体」
「あのザラストロって人は悪い人じゃないですけれどね」
「そうだね。話がわからなくなってきたけれど」
「何かパミーナ様のお父上みたいですし」
「じゃあ夜の女王とは」
「夫婦ってことになりますね」
それはわかったのだった。
「しかし。何なんでしょうね」
「わからないことだらけになってきたな」
「全くですよ」
「二人共」
ここで僧侶の一人が二人の部屋に入って来た。重厚な扉を開け厳かにだ。
「起きているか」
「はい」
「何ですか?」
「我等から何を探し何を求めているか」
二人にいきなり問うてきたのだ。
「それは何か」
「叡智と愛を求めて」
こう答えるタミーノだった。
「それだけです」
「その二つを命を賭けて手に入れられるか」
「入れられます」
答えるのはタミーノだけである。
「何があっても」
「命は惜しくないな」
「その為には」
「今なら引き返すことができる」
ここでこんなことも言ってみせる僧侶だった。
「それでもだな」
「智恵を手に入れることが勝利でパミーナが得られるものですから」
「愛がだな」
「はい」
「わかった」
そしてもう一人僧侶が入って来た。彼はパパゲーノに問うてきた。
「よいか」
「何なんですか?」
「そなたも試練を受けるか」
「滅相もない」
パパゲーノは首を必死に横に振ってそれを否定した。
「命を賭けるなんてとても」
「智恵はいらぬのか」
「智恵!?興味ありませんよ」
まさにその通りだというのだ。
「自然のままで寝ることと飲んで食べて楽しくやれれば」
「それだけでいいのか」
「あとは可愛いお嫁さんでもいればね」
「いいのか、それだけで」
「そうですよ、いいですよ」
まさにそれでいいというパパゲーノだった。
「他には何もいりませんよ」
「それを手に入れたければ試練を受けるのだ」
「お嫁さんの為ですか」
「そうだ。受けるの
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