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カンピオーネ!5人”の”神殺し
急変
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予知にも等しい、生物の限界を超越した超直感。一説には、『カンピオーネとなったから超直感を得たのだ』、という説もあるが、私は『元々その人物が持っていた直感が、カンピオーネとなったことで強化された』のだと思っている。幾つか残っている、過去のカンピオーネについての資料にも、この推論を裏付ける記述がある。

 ・・・・・・【魔界(日本)】に生まれた五人目のカンピオーネ草薙護堂は、その王者の資質を、確かに兼ね備えていたのだ。だからこそ、草薙護堂様という新しい魔王によって私たちは生かされた。私は、あの奇跡を一生忘れることはないだろう。



???



「伏せろ!!!」

 今考えてみても、絶対に前兆はなかった、と後にエリカは語る。私たちが見逃した訳ではなく、その騒ぎの前兆は確かに無かったのだ、と。物音がしたわけでも無かった。殺気がしたわけでも無かった。単に、エリカ達には感じ取れなかった『何か』を、護堂が感じ取ったというだけの話。・・・ただ、それによって彼女たちの命は救われた訳なのだが。

 ゾワリ、と、まるで背筋を大量の蟲が這いずり回っているかのような感覚がしたと、護堂は後に語っている。まつろわぬ神という災害を目の前にしても感じ得なかった、濃密な気配。凝縮された殺気のような物を感じたのだ、と。

 彼の行動は素早かった。

 ソレ(・・)を感じ取ったその瞬間、彼の体はベットから飛び出していた。右手にはエリカ、左手には血だらけの黒猫を抱きかかえて。

 ゾバッッッッッッッッッッ!!!

 彼が地面に転がったその瞬間、彼らの病室の壁という壁が丸ごと吹き飛んだ。・・・否、切り裂かれた(・・・・・・)。七階建てであるこの病院の、最高の医療設備が整っている最上階に護堂たちの病室はあったのだが・・・その七階部分が、残さず吹き飛び、小さな破片になるまで切り裂かれていたのだ。

 間違いなく、脊髄反射などでは間に合わないタイミングだった。護堂が何かを感知した、その刹那の時間的余裕が無ければ、彼らの体は細切れにされていただろう。『王者の資質』の片鱗が見えた。

 護堂のお蔭で床に伏せることが出来たエリカ達は無事だったが、もしこの階に他に人がいたのなら、その人たちの生命は絶望的な状況であった。

 そのことに気がついたエリカは、護堂に感謝の気持ちを抱くとともに、この馬鹿げた破壊は一体誰の仕業かと、脳をフル回転させて考え始める。・・・が、それも聴こえてきた言葉によって中断された。

「・・・あれ?避けられたであります?」

(この声・・・!?)

 つい最近聴いたことがある声に、彼女の思考は停止した。そう、つい最近、チラシと共に各国の首相や大手魔術結社に送られてきたPV(プロモーションビデオ)に出てきた、魔王様と
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