第一幕その十四
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第一幕その十四
「わかったわね」
「ええ、じゃあ覚悟を決めて」
「あの方こそは昼を治める方」
「世界の半分を治められる方」
「まさに」
讃える声がさらに高まる。そして黄金の法衣を着た男が現われた。その手には太陽を表す杖がある。その彼が今やって来たのだ。
「パミーナか」
「はい」
彼は二人の前に来た。厳かな声で告げるのだった。
そしてパミーナもそれに応えてだ。こくりと頷いた。
「その通りです」
「何故ここにいるのだ?」
「ザラストロ様、私は罪を犯しました」
こう言うのである。
「貴方の世界から逃げようとしました。ですがそれは私のせいではありません」
「そなたのせいではないというのか」
「はい、モノスタトスが私に迫り」
正直に話し続ける。
「それから逃れてのことだったのです」
「わかった」
ザラストロはそれを聞いて静かに頷いた。
「モノスタトスはまたやったのだな」
「その通りです」
「そなたは今別の者を愛しているな」
ザラストロはパミーナにこうも言った。
「そうだな」
「おわかりなのですか」
「そなたの目を見ればわかる」
その大柄な身体から小柄な彼女を見ての言葉である。
「その熱い目をだ」
「私の目から」
「愛は自由だ」
ザラストロはそれは言う。
「しかしそなたはまだ自由を手に入れるべきではない」
「お母様のところへは」
「言おう。私はそなたの父だ」
「えっ!?」
「これは知らなかったのか」
それを聞いての言葉だ。
「何も聞かされてはいないのか」
「お母様は何も」
「かつては私の妻だった」
このことも話すのだった。
「しかし今は。昼と夜は別れたままだ」
「そうだったのですか」
「左様だ。そして」
「そして?」
「一つに戻らなくてはならないものでもある」
「一つに」
「それもやがて行う」
彼は言った。
「だが。今はだ」
「今は」
「そなた達の方が先だ」
「やい、こっちに来るんだ」
ここでまたモノスタトスの声がしてきた。
「全く。手を焼かせてくれる」
「くっ、ここまで来て捕らえられるとは」
「あれはまさか」
「はい、そうです」
ここでそれまで青くなっていたパパゲーノがパミーナに話した。
「あの方がです」
「タミーノ王子なのね」
「その通りです」
「あの人は」
そしてタミーノも気付いたのだった。後ろ手に縛られている中で。
「ようやく出会えた」
「本当に来てくれるなんて」
「縄を解いてやるのだ」
ここでザラストロが命じた。
「よいな」
「はい、わかりました」
「それでは」
周りの者がすぐに動いた。そのうえでタミーノの縄を解いた。するとそれで彼は自由になりだった。パミーナと強く抱き合
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