暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#5 静寂に訪れる絶望
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き出しにした姿は、本当にかけ離れすぎている。

 だからこそ、怯えていた。

 それに町の外へ行くなと、外には危険なモンスターがいるぞー! と親に脅かされていた存在でもあった。

「お、おにいちゃん……っ、こ、こわい……こわい、よ……」

 サラは、アルの手を強く握って、そして震えていた。今にも泣きそうなのに、泣けないし、動けない。突然の事で神経が麻痺してしまったかの様だ。


「大丈夫、サラ…… オレの後ろにいろ」

 アルは、咄嗟にサラを後ろにやり、魔物(モンスター)を彼女から遠ざけた。サラが目に入らない様にする為に、標的をサラに向けさせない様に。

 そうしている間にも、魔物(モンスター)の群れは、自分達を標的と、……獲物と見定めた様だ。低い唸り声と共に、姿勢を低くさせていた。
 
 ……今にでも、飛び掛ってくる。魔物(モンスター)独特の殺気も、感じられる。

 この感じが、臨戦態勢なんだろう。

(迂闊、だった……。 坑道の中にモンスターは、いると聞いていたが、町まで出てくるなんて……)

 確かにモンスターは、この町にも存在する。だが、それは、鉱山の坑道の奥の方だけだ。そこまで強力なモノはいないらしく、武器らしい武器が無くても、仕事道具で。そして、鉱山で働く男達だけでも十分撃退出来る為、町にまで入ってくる事は無かったそうだ。

 そう、これまで、町中にまで(厳密には此処は違うが)出てくることはこれまでに一度も無かった筈なのに。

(今、嘆いていても始まらない。 ……サラは、サラだけは絶対に守らないと。っ、だけど丸腰のオレに何ができる? 隙を見て逃げ出すか? しかし 敵の数が多い…… 何か無いのかっ!?)

 アルは、あたりを見渡す。だが、生憎此処は自然が作り出した岩の通路。しかし 武器になるような物は無く、自分自身も持ち合わせていなかった。

 そんな次の瞬間!

低い唸りを上げていたモンスター達が、咆哮を上げながら、一斉にが飛び掛ってきた。

「っっ!!」

考えが纏まる間のなく、待ってくれる事も無く、飛び掛ってくる群れ。

「く、そっっ!!」

 飛び掛ってきた1匹のウルフ目掛けてアルは、反射的に蹴りを放った。これまでで、身体を動かしたりはリハビリの過程でしてきたが、格闘に関しては皆無だ。そんな破れかぶれな攻撃だったけれど。
 1匹のウルフの丁度飛び上がり、頭から突っ込んできた為、その頭蓋に、カウンター気味に当たった。
 ぎゃん! と言う鳴き声を上げながら、倒れるウルフ。何とか、1匹には・・攻撃を当てる事が出来た。

 だが……。

 格闘の素人同然の者が、一度に複数の相手を出来る筈も無い。
 続けざまに、襲ってきた数匹の攻撃を躱す事はできず、
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