第一幕その一
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第一幕その一
魔笛
第一幕 魔笛を授けられ
森の中から一人の若者が出て来た。
見ればその服は濃い青と赤が複雑に入り混じった光を放つものだった。上着は日本の着物を思わせるものでズボンも何処かそんな感じである。
金髪で癖のある巻いた髪を上にあげている。青い目がかなり美しい。彫のある顔でその小さな目には知的な光もある。その若者が森の中から出て来て必死に逃げていた。
「助けてくれ!」
見れば後ろからとてつもない大きさの大蛇が彼に迫って来ている。
「このままでは蛇!」
だが気力が尽きたのか倒れ込んでしまった。蛇は今にも彼を飲み込まんとする。しかしここで三人の不思議な女達が出て来てである。それぞれの指から光を放ってその蛇を倒してしまった。
「そうはさせるものですか」
「この大蛇め!」
その光で大蛇を貫き仕留めてからの言葉だった。
「これでこの若者は救われたわ」
「私達の手によって」
「それに」
その若者を見ての言葉である。
「この若者って」
「そうね。綺麗な顔をしているわ」
「こんなに綺麗な若者って」
「まるで絵になっているようね」
三人はそれぞれ黒いドレスを着ている。一人は金髪で青い目をしていて一人が銀髪で緑の目、最後の一人は青銅の輝きの髪で黒い目をしている。
「こんな若者と一緒になれたら」
「それこそ」
「女王様も」
女王という言葉も出て来た。
「御心を安らげさせられるわ」
「きっとね」
「そうなるわね」
「それじゃあ」
ここでまた言い合う三人だった。
「私が残るわ」
金髪の美女が言うのだった。
「だから貴女達はね」
「何、それじゃあ」
「貴女だけが残るっていうの?」
「まさか」
「そうよ、まさかよ」
金髪の婦人は二人に話す。
「だからね」
「駄目よ、私よ」
「私がなのよ」
銀髪の美女と青銅色の髪の美女も主張する。
「ここに残るのは」
「私がこの若者の前によ」
「残るわ」
「そうするわ」
こう言い合いであった。三人共引かない。
「私が」
「いえ、私が残って」
「この若者を護るわ」
「蛇は倒したけれど」
「まだ何がいるのかわからないから」
言っていることは三人共同じであった。
「絶対によ。私が残るわ」
「この美しい若者のところに」
「だからその間に」
「埒が明かないわね」
ここで遂に銀髪の美女がたまりかねて言った。
「もうこうなったらね」
「そうね。少しの間だし」
「ここは結界を張って」
「そうして」
三人はまた指を動かして光を放った。それによって彼の周りに結界を張った。それで守りを固めてであった。三人はその場を去るのだ
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