十六話
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確かにフーリエはタバコを吸う。だが、ヘビースモーカーと言うほどではなく、一日に五本吸うか吸わないか程度らしい
仕事中には一切吸わず、吸うにしても休憩中に外に出て吸うか、閉店後の飲みの時にしか彼が吸っている姿をレイフォンは見たことが無い
レイフォンからしてみたら臭いもそうするものではなく、気になるほどではない。むしろ、賭け試合の会場で酷く吸っている人たちを見たことがあるレイフォンにとっては慣れたところもある
気にならないけど、サーニャからしたら違うのかな? と彼女の姿を思い浮かべながら相槌を打つ
「で、体当たりがキックに変わった」
「はあ」
レイフォン自身、何度かされたことがある体当たりを思い浮かべながら相槌を打つ
一般人、それもまだ自分よりも幼い女性の、そもそも本気ではないそれは痛くはないのでさほど気にはならない
むしろ避けても問題が無い分、そっち((キック))の方が良いかもしれない
「それは別にいい。で、気になったからサリアに聞いたんだよ。タバコがそんなに臭うかって」
「どうだったんですか?」
サリアというのはここのバイトだ。シフトが違うからか、レイフォンが彼女と会うことはそんなに多くはない
長い茶髪を後ろでお団子状に纏めている姿を覚えている
フーリエが、視線をそらす
「……臭うって言われた。偶にバイト前に吸ってくることがあるんだが、そういった時は近づかないようにしてたって。後、吸った後は出来るだけ近づかないようにしてくれると助かるってさ……」
「……」
そういえば、フーリエはサリアの事が気になってるだとか店主が前に言っていた気がする。酒が入ってザックスと一緒に爆笑しながらだったが
そっちの事は一切わからないので、レイフォンは何を言えばいいのか分からなくなる
そんなレイフォンの頭にフーリエは手を乗せ、髪をいじり始める
「……で、タバコを一昨日から吸ってないんだよ。なんとかなると思ったが、我慢しようとすると逆に口がさみしくなっちまう。手が伸びそうになるが、持ってないしな」
「ああ、それで……」
胸の辺りで手を動かしていたのはそれだったのかと納得する。それに、いつもは少しだがする臭いが無くなっているのに気づく。本気で禁煙しているのだろう
誰かを好きになったことがないのでレイフォンにはよく分からないが、これが俗にいう“惚れた弱み”というやつなのだろうか
頭の上で動く手を意識しながら、そう考える
「で、なんかないか」
「いや、そう言われても……ザックスさんとかに聞いてみたらどうですか?」
無茶ぶりを振られ、一人の先輩バイトを思い浮かべながら言う
「あいつに言ったら爆笑しながらヘタレヘタレってうるさいんだよ……。生の唐辛子口に突っ込ん
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