十六話
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でやった」
「あ〜」
容易にその場面が思い浮かんだあげく、つい頷きそうになって何も言えなくなる
そういえば、店長もフーリエの事を奥手だとかヘタレだとか言っていたなー、等と思い出す
確かに、この彼が積極的になっている姿が想像できない。というか、レイフォンにはどんな事をすれば積極的なのかが良く分からないのだが
が、言ったら同じ目に合いそうなのでレイフォンは沈黙を貫く
恋路はよく分からない。だからといって他に言えることも何もない
フーリエの視線が何気なくタバスコの容器に向けられているのに恐怖を感じる
((だ、誰か……))
誰でもいいからこの状態から助けてほしい
その祈りが通じたのか、店の扉が開くのをみてレイフォンは安堵する
少なくとも他にフロアがいない今、フーリエは客の対応に出なければならないのでこの状態からは解放されるはずだ
はたしてレイフォンにとっての救世主は、扉を開けたらそのままレイフォンに突進した
「お」
「え?」
二人の小さな反応を受けたその少女は、そのままレイフォンに体当たり喰らわせた
「あ」
そしてその衝撃に、フーリエに掴まれたままだったレイフォンの髪が一気に引っ張られ、頭部からブチブチ!と嫌な音が響く
「痛ァ!?」
「レイフォン久しぶり?!」
対面そうそうぶちかましを決めた金髪の少女????ここの店主の娘サーニャは、レイフォンの悲鳴を無視しながら満面の笑みを浮かべた
「うう……痛い」
「どしたのレイフォン? フーリエに虐められたの? どっかいけフーリエ! タバコ!」
若干涙目なレイフォンを心配そうな瞳で見つめ、サーニャはフーリエを睨みつける
勝気そうな瞳に頭の左右から伸びるツインテールがさながら威嚇する猫を連想させるが、いかんせん幼さが残る可愛らしい容姿ではせいぜい子猫程度の迫力しかない
勿論、フーリエには何の効果もない
「生憎だがここがバイト先だし、一昨日から禁煙中だ。それにレイフォンはお前のせいだ。後静かにしろ」
その言葉にレイフォンが客の方を見るが、特に何もなく大丈夫だと軽く手を振るだけだ
常連の彼らはサーニャともある程度面識があるのでさほど気にしてはいないのだろう。むしろ、面白そうに見ている
フーリエが軽く手を挙げ、その中に残ったレイフォンの髪をサーニャに見せる
「可哀そうに。レイフォンは将来きっと禿げてしまうだろうな。お前のせいでレイフォンはつるぴかだ」
やれやれ、とフーリエが大げさに首を振る
若干ビビるくらいの髪が乗ったそれを見せられ、頭皮の心配をするレイフォンの横でサーニャは顔を青くする
「大丈夫レイフォン? 大丈夫……大丈夫だよね? ね? ゴメン!! ……うう、わたしの
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