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Verweile doch! Du bist so schon.
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る。そう誓ったのだから。
 その時。どこからともなく、声が聴こえていた。
 いや、声じゃない。そう、これは音――。
 悪魔の体内から直接発せられる、骨の軋むのような音だ。
 ぎぎぎぎぎ。ごぎぎっぎぐぎ。
 ぎいいいぃぃぃいいいいあああぎぎああ!
 ごりごりがりがりごり。
 ひとつの音ではない。幾つもの音が同時に響いてくる。それも、どんどんと大きくなって。
 悪魔の身体から生えている、無数の骨のような触手がビクン、と大きく躍動する。
 大木のような。蠍の尻尾のような。日本刀のような。鎌のような。蔓のような。鞭のような。
 そのような多種多様な触手が、数えきれないほど生えてきている。
 数え切れないほどの、おぞましく醜悪な脅威。
 触手の先や間から、大量の瘴気や腐液が垂れてくる。

「ぎいいぃぃいいあああぁぁぁあああらあああるううぅううあああえええ!!」

 悪魔は叫んだ。
 もはやその言葉に意味はない。理性を捨てた本能からの叫び。
 叫んだ時には、悪魔は既に彼女の真上にいた。
 無理な転移に空間が軋み、悲鳴を上げる。

「くふ……」

 それを受け彼女は、微かに、嗤うような声をあげた。
 この異様な光景に、彼女は、たしかに悦びを覚えている。その様は凄まじく美しく。清純な天使であろうか。可憐な乙女の様であり。無垢な少女の様であり。熟練の娼婦の様であり。満月の狂人の様な。いや、無邪気な邪神のようでもあり。
 それを見て、悪魔は歓喜の笑みを浮かべる。
 素晴らしい……! これこそがまさに、俺が求めた究極であると。理性をなくしてなお本能で彼女を求める。
 そうして彼は、彼女に向かい。
 天の下で吼えた。

「■■■■!!」

 魂で叫んだ。
 すべては己のために。彼女を手に入れるために。
 触手が蠢き、彼女に向かう。疾る、疾る、縦横無尽に触手が疾る。
 それはさながら黒い稲妻。光速に近い速さで、上下左右あらゆる方向から襲い掛かる。特大の暴力。
 空気が蒸発し、空間が削れ。しかしそれは彼女に届かなかった。
 彼女に近づいた途端、それは消滅したのだ。
 そう、消滅である。割れたわけでも砕けたわけでもなく、溶けたわけでも枯れたわけでもない。一片の欠片も残さず。完全に消し去ったのである。
 それは本来有り得ぬこと。何故ならこれは悪魔の全身全霊、魂を込めた全力の一撃。それは強靭でしなやかで、たとえ惑星をぶつけられたとしても砕けることはないだろう。
 しかし、この場合は相手が悪すぎた。彼女が何者かは不明だが、この悪魔との間には隔絶した実力差があり。それはつまり圧倒的に魂の格が違うということに他ならない。
 自身を襲う激痛に悪魔がうろたえる。痛みで身を震わせている悪魔に対し、彼女が初めて自分から動作を
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