§47 -冠を持つ王の手-
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にやりたいのだがのう」
諦めにも似た鬼神の声に、真君は瞳を一層鋭くする。その視線に、巨大な鬼は歓喜した。
「……ほぅ。それでこそ英雄神よ!!」
「ほざけ化物!!」
走り出す真君に奮起したのか、まつろわぬ神々が活発化する。
「舐めるな!!」
駆神大聖が激昂し剣を振った。一振るえば数十の鬼の命が飛ぶ、デタラメな攻撃。だが、
「「「ぐあぁ!!」」」
やはり、まつろわぬ神達に無数の傷が走る。それは、駆神大聖が鬼達につけた傷と全く同じ場所。彼らは悟る。これはあの太陽神の権能であり、このままでは拙いと。
「消し去れ」
薄く笑う黎斗に追従するかの如く、月読命が斉天大聖の分身を貫いた。貫かれた大聖は一瞬で消失する。更に月読命がぼそぼそと呟くうちに、波が集う。巨大な濁流となって彼に従う。それは雲にも届くかと言う巨大な水の壁。
「お前もかよ……」
疲れたように言葉を返す覆海大聖がやはり巨大な津波を作り出す。同時に解き放たれた大瀑布は互いに衝突し相殺されて、大地を海に染め上げた。砕け散った瓦礫の欠片が押し流され、僅かに残るビルの残骸が陸の役割を果たすのみ。大地は海へと塗り替えられ陸地は消失。神も神殺しも足場の急激な変遷に、慣れぬ地形での闘いに動きが鈍い。
「行こうかの」
八雷神にまたがり遥か上空に浮かんだマモンが、周囲の空気を鉄塊に変質させる。巨大な突撃槍が幾千幾万空に浮かびあがり、八雷神の加護を受けて帯電する。雷撃を纏った投擲槍の完成だ。
「穿て」
彼の一言で、雲より高い天から降り注ぐ、無数の凶器。敵も味方もお構いなく降り注ぐそれに撃ち抜かれ、大聖の分身たちが消えていく。一人にでも当たればシャマシュの力によって黎斗に対峙する全員に等しく影響が出る、という悪条件と足場の阻害によって無数の爆撃は圧倒的な損害を相手に与える。そして損害は、等しく仲間にも降り注ぐ。
「おい貴様、殺す気か!!」
神速で雷槍を躱しつつアレクが怒鳴った。一歩でも喰らえば致命傷になりかねない攻撃が雲霞の如く連続すれば当然だろう。これが味方にとる行動か。
「大丈夫だ、問題は----何も、無い」
冥界と化した領域は、本来伊邪那美命の権能だ。これとヤマの蘇生の権能に八雷神の権能を噛ませ、改竄することで領域内の「認定した対象の命を奪う」効果に追加して「認定した対象の傷を修復する」効果も追加したのだ。神相手に術の効きは悪いこともあり、完全な回復とはいかないまでも十分に通用するだろう。何せ圧倒的な呪力の差があるのだから。つまりは回復までが呪力のゴリ押しである。……もっとも、そんなことなど黒王子達は知るはずもない。
「無い訳あるか馬鹿!!」
結果、大音声での罵
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