After days
挿話集
Caliber―器―
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「ヴィレッタ……」
レックスを下に回せないか?と訊こうとした所で彼女も難しい顔をしているのを見て言葉を飲み込んだ。空気抵抗を考えると、レックスをこれ以上のスピードで下降させるのは難しい。
「キリト!」
「キリトくん!」
トンキー上のアスナ達が状況を理解し、切迫した声を上げる。
「先に俺が落ちて弾き返せ……ないか」
「2人で行けばどうかな?」
「やめとけ、キリ坊の後味が悪くなるだけだ」
やけくそ気味に代案を捻り出してみるが、ハンニャに押し止められる。
しかしキリトは1つ強く頷くと、エクスキャリバーを真横に投げ棄て、トンキーに飛び移った。
それを合図にトンキーが減速し、レックスまた速度を落とす。
「……また、いつか取りに行けるよ」
「わたしがバッチリ座標固定します!」
「取りに行くの、手伝うぜ」
アスナ、ユイ、俺が言うと、キリトは苦笑を浮かべて言った。
「……ああ、そうだな。ニブルヘイムのどこかで、きっと待っててくれるさ」
「ん、ニブルヘイム行くのか?死ぬぜ?」
「あれはマジやばだよ、キリト君♪」
おどけた調子で最古参2人に脅され、キリトが「げぇ……」と顔をしかめた所でシノンがすっ、と立ち上がった。
「――200メートルか」
呟き、続けて素早くスペルを詠唱。矢を白い光が包む。
弦を無造作に引き、エクスキャリバーの更に下方に向け、矢を射る。
弓使いの専用スペル《リトーブ・アロー》によって吸着力を付加された矢が漆黒の穴に吸い込まれ……
たぁん!と軽やかな音をたててエクスキャリバーに衝突した。
「よっ!」
シノンが右手から伸びる魔法の糸で一本釣りしたのは勿論、大間のマグロではなく、ALO最強の伝説級武器《聖剣エクスキャリバー》だった。
「うわ、重……」
呟きながら両手でそれを保持し、くるりと振り向いたケットシー様に。
「「「シノンさん、マジかっけぇーーーーー!!」」」
全員の声が完全に同期して投げ掛けられた。
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紆余曲折を経てエクスキャリバーは無事にキリトの元へ帰ってきた。
シノンがキリトにエクスキャリバーを渡す段階で色々あったのだが……空気が寒かったとだけ言っておこう。
イグドラシルの恩恵が戻ったヨツンヘイムは今までの凍てつく環境から暖かな風の吹く温暖なダンジョンに様変わりし、事情を知らないプレイヤー達はたいそう混乱したそうな。
それも《エクスキャリバー》入手とそれに伴う冒険譚が公開され、やがて鎮まった。
事後に起こった出来事として、その当事者たる俺達
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