After days
挿話集
Caliber―器―
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》に向けて落ちて行く。勿論、俺達を乗せて。
「「のわあああああ!?」」
「「「きゃあああああ!?」」」
「な、何すんのよぉぉ!!」
「ははは。まあ、あそこで根っこにぷち、とやられるのはごめんだがな」
唯一余裕を保っているハンニャが俺の意図を解説してくれる。
ボイドに向けて確実に落ちていく中、俺は絶叫中のヴィレッタの方を向いた。
「おーい、ヴィレ……」
そこに居たのは普段の生意気そうな面をした彼女ではなく……
「うぅぅぅ……」
ケットシー特有の耳と尻尾をしゅんと萎えさせ、ガクガク震えながらアルセに抱きついている何ともまあ、可愛らしい姿だった。
ちなみに、抱きつかれているアルセは必死に笑いを堪えており、頬がピクピクしている。
(……こんなんじゃレックス呼んでくれなんて言えないな)
「うーん……」
ここでまさかのノープラン何て言ったら、間違いなく蘇生後にボコられるのは明白だ。
懸念と言えばもう1つある。キリトが現在必死に確保中のエクスキャリバーだ。あれは恐らく、生存した状態でウルズに再び会ってクエストの終了フラグをたてる必要がある。
リーファの持つタイムリミットまでの時間を表すメダリオンの光は幸い止まったようだが……。
「………ん?」
落下音の中に何か異質なサウンドを捉え、音源に向かって顔を向ける。リーファが立ち上がり、円盤の縁まで行って目を凝らしているようだ。
くおおぉぉーー……ん
グオオオオォォォォ………
遠く甲高い鳴き声と、雷鳴のような方向が南の空から聞こえてきた。
「………トンキーーーー!」
「………レックス!!」
2番目のは震えていたヴィレッタ。レックスの声が聞こえると、ピタリと震えるのをやめ、猛ダッシュで円盤の縁まで走ると、そのまま身を投げ出した。
「ちょ、ヴィレッタ!?」
恐怖の余り頭がおかしくなったのかと思ったが、次の瞬間、俺達はその意味を悟った。
「グオォォッ!!」
どん、という衝撃音と共に一瞬にして加速したレックスがその巨体を落下するヴィレッタの下に潜り込ませた。
「……乗るんなら早くしなさい。あまり長くは滞空出来ないんだから」
「りょーかい」
ハンニャ、アルセ、セイン、俺の順に飛び降り、無事に全員が乗り移った所でレックスは円盤の下方から脱出し、少し離れた上方で羽を調節して円盤と同じ速度になるようにした。
残るメンバーも次々とトンキーに乗り移り、キリトの番になったところで問題が発生した。
「……ちとマズイな」
「あれは、ねえ?」
ハンニャとアルセが微妙な表情をしながら見詰める先には、手に持つエクスキャリバーが重すぎてジャンプ出来ずにいるキリトが居た。
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