十五話
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はい!」
「で、どうしてまだ難しい顔をしているんだい?」
「あ、いえ。何してればいいんだろうと思って」
アントーク家を出て暫く。旅団の方へと歩きながらシンラからの問いかけにレイフォンは答える
「何をしたらって……好きに過ごせばいいんじゃないか。時間はあるんだろう?」
「はい。夜に予定が入ってますけど、それまでが……。好きにしたらって言われてもその……何してればいいのか良く分からないです」
「趣味とかないのかい? 本を読んだり何かを作ったりとか」
「趣味ですか? うーん……特にないです。グレンダンにいたときは毎日忙しかった……本当に忙しかったですし、ここでもバイトで時間結構とられてて探す時間もあんまり。……訓練でもしていようかなー」
「それはまた武骨な。……うん、決めた」
「え? 何をで……おわっ! シンラさん、そっちは逆じゃ……」
突如手を掴まれ、反転したシンラにレイフォンは旅団とは逆の方に引きずられ疑問の声を挙げる
それに対し、シンラは実に楽しそうに答える
「いやいや、趣味がないというなら見つければ良いと思ってね。暇なんだろう? なら訓練なんてしてないで街中でも回ろうじゃないか。ちょっと付き合ってくれないか」
「え? ……あーはい、分かりました」
「うん、いい返事だ。ちょっと前から行ってみたかった場所がいくつかあってね。裏通りで少し治安が不安な所にある店とかあるんだが、君がいれば安心だ。さあ行こうじゃないか」
「え、ちょそれって……僕嫌ですよそんなとこ!? 違うところでいいじゃないですか!!」
「勿論他の所も行くさ。なんたってそこが空くのは夜になってかららしいからね。それまで他の所で時間を潰そうじゃないか」
「余計怪しいじゃないですか!?」
慌ててレイフォンが手を振り払おうとしてもがっちりと掴まれていて上手く振りほどけない
無理矢理にほどこうと思えば出来るだろうが、それではシンラが怪我をしてしまうだろうからレイフォンは強く力が出せない
「ふふふ。無理矢理振りほどこうとしたら一般人の僕はきっと怪我をしてしまうだろうな。けど、優しい君はそんなことしないで僕のお願いを聞いてくれるよね?」
「確信犯だったー!?」
「さあ行こう。なーに、危なくないから大丈夫だって。せいぜい帰るのが明日になったり、アルコールの匂いがするところに行ったりせいぜいその位だよ。もしかしたら綺麗なお姉さんがたくさん見れるかもしれないぞ?」
「いーやーだー! エリスさーん!!」
「はっはっは! エリスには内緒だぞ?」
ドナドナが頭の中を流れながら、レイフォンは笑うシンラに引きずられ街中へと消えて行った
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