十五話
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を一つの都市の上で終える。人々を守る武芸者など特にそうだ。外には怖い汚染獣がいるからと。都市を守らなければいけないからと。籠の中の鳥のように自分から外に出ようとしない」
それは普通の生き方に、親から教えられる世界のありかた。疑問を持つことに疑問を持つような、世界の事実。
「だが、一方で都市間を行き来する人たちもいる。彼らは私たちが見れない世界をたくさん見ている。それがどうしようもなく羨ましかった。私も、自分の目で知らない世界を見てみたかった」
ニーナの言葉の力強さが、レイフォンには理解できない
どうしてなのか、聞けば聞くほど自分とニーナの間が遠いように感じてしまえてくる
「“都市を守る”。その思いは私の中にあったが、外から与えられた物で自分の物ではないと不安があった。だから、外に出たかったの」
ニーナが自嘲するように小さく笑う。
「だがやはり思いきれなくてな。試験を受けたというのに、無理矢理に出ていくことに罪悪感が出てしまった。シンラさんの話を聞いて後押しされながらもそれは大きくなった。その時私の心を決めてくれたのがお前なんだ」
「僕……ですか?」
ニーナ瞳がレイフォンを捉える。
真っ直ぐに力強くその瞳を見据えてくる。
「お前の過去を、背負っているものを聞いて自分がどうしようもなく何も知らないのだと思い知った。だから、私は外に出ることを、自分の知らない世界を見ることを決めたんだ。あの時のお前の言葉があって、私は今ここにいる」
どうしてそう前向きになれるのか。どうしてそう力強い瞳が出来るのか分からない
クラリーベルもそうだった。どうしてそう力強く、迷いなく未来を語れるのだろうか
自分にはそうは出来ない
(……まぶしいな)
どうしようもなく遠く感じる
だから、そういった相手には憧れてしまう
違いを自覚して遠さを思いしらされ悲しく感じながらも、そんな相手の思いに力を貸せたのだと嬉しくも思えてしまう
「私はこれから外の世界を見てくる。そして胸を張って言える“自分の思い”を見つけたい。それが私の思いだ」
「……僕には難しい事とかは良く分かりません。けど、ニーナさんの願いが叶えばいいと思います。その、えーと……何と言うかその……頑張って?下さい」
「はは……ありがとう。まあ、頑張ってくるよ」
そう言い、ニーナはトランクを持ち背中を向けて去って行く。これから都市バスの方にでも向かっていくのだろう
そう思ってみていると、不意に立ち止まりニーナが振り返る
「会えるかどうか分からんがもし次が有ったら、また手合わせしてくれるか?」
「……はい! 喜んで!!」
「そうか。なら、それまでに力をつけておく」
そう言い、軽く手を振りながら小さく微
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