十五話
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大きな屋敷の二階、閉じられた窓の内側。少女の部屋のベッドの上には刀身が出されたままのナイフ
そしてその傍らに美しい長い金髪と黒のリボンが残されていた
「ふあ〜あ。んー」
朝、眠気まなこをこすりながらレイフォンは目を覚ました
もう慣れてしまった少し硬いベッドから起き、顔を洗いに動く
冷たい水が眠気を吹き飛ばし寝癖を直した後、隣の部屋に続く扉を開ける
そこそこの広さを持つその部屋は椅子とテーブルなどが置かれており、毎朝朝食を食べる場所でもある
扉を開けると同時、既に出来ている料理の匂いがレイフォンの鼻をひくつかせる
シンラ達旅団の人員は、食事をそれぞれある程度のローテーションを組み交替で作っている
無論、得意下手の差はあるため頻度に差が出ることはあるが、それでもある程度は交代制で行われている
そのため、作る人によって味付けや料理の種類が違うし、味で当たり外れがある
だが、たとえ外れの人員がいたとしても一人で作るわけじゃないので普通は心配することはない
(今日は……エリスさんとリュートさん、それとジンさんか。良かった……)
そう、“普通”は
レイフォンの視線が、料理の方から人の方に移される
(……うん、シンラさんは座ってる)
シンラが座っていることを確認し、その隣に行く
今のように都市に滞在し、二つ以上の拠点ともいえる場所が離れている場合、移動などで人員は固定されない
それ故気づいたら自分のいる方は外ればかり、ということもあるのだ
十五人、レイフォンを足して十六人の内当たりは四人で外れも五人、どっちつかずの普通の腕前が六人
「ああ、おはようレイフォン。今日はバイトは大丈夫なのかい?」
「おはようございます。今日は午前中のは休みで、ニーナさんのが昼頃なので大丈夫です」
「そうか、ならゆっくりと休んでいると良い。しかし残念だ。知っていたなら僕の当番を今日の昼から朝に変えたのに」
「……あはは、そうですか。お昼は街の方で食べるので……えーとその、今度お願いします」
(……助かった)
そして外れでさえない“地雷”“謎”“虫けら”とされている一人がシンラだ
前に一度食べたことがあるが、その時は酷かったとレイフォンは思い出す
見た目は良かった。様々な食材が使われているだろうに透き通るようなスープや、蒸したのか茹でたのかよくわからないが新鮮そうな野菜がのせられた肉料理
周りの人達の反応が可笑しいと思いながらも口に入れ、そしてその意味を知ったのだ
あれは形容しがたい味だったと思う。どうやったらあの味が出来るのか逆に知りたいくらいだった。食材がもっ
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