第三十一話 少年期M
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る。それにアルヴィンは安全牌だろうと、キラキラした視線から極力目を逸らして隣を見据えた。
「ふむ、私はあまり魔法を使わないから参考になるかはわからない。だけど、自分のポジションに合わせた選択をするべきだろう。坊やはレアスキルがあるから、わざわざ接近する必要も、距離を取る必要もないわけだ。個人的にスピードよりもいかに自分の最も得意とするポイントへ転移できるか、を主軸に置いた方が効率がいいかもしれん」
かなりまともなご意見にアルヴィンはすぐにメモを取った。
「えー、そうかな? 私はスピードがある方がいいと思うよ。高速戦闘のいいところはやっぱり爽快感じゃない。こう素早く相手の懐に入ってホームランすると気持ちいいもの。私も基本装甲なんてつけてないし、急所を守れればOKよ!」
「……常々思うが、なんで君は研究者なんだ。やばい、い、胃薬……」
アルヴィンは素で反応に困った。
******
ケースB ちきゅうやの愉快な仲間たちの場合
「そんなこんなで現在バリアジャケットの案を考えています」
「そんなこんならへんが色々おかしい気がするのは俺だけか」
ちきゅうやで店番をしていたエイカは、いつも通りわけがわからないやつだ、と適当にあしらっていた。しかしそんな程度じゃめげないアルヴィンはそのまま話を続ける。
「というわけで何かないかな。ちなみにエイカならどんな服を作る?」
「あ? まぁ、俺なら……」
そこまで言って途中で途切れた言葉。エイカの視線がある場所でぴたりと止まる。そこはよく訪れるようになった日本のアニメコーナー。そこに映るのは金髪ブロンドの髪に、きらきら衣装と白タイツ。アルヴィンは慌てて話題を変えることにした。わりと必死だった。
「あら、なにかにぎやかだと思ったら2人とも来ていたのね」
「あ、いらっしゃいませ」
「……らっしゃい」
ちきゅうやに入ってきたのは20代ぐらいの女性。さらりと揺れる栗色のショートカットと切れ長の瞳。傍から見ると知的美人って感じで近寄りがたいが、そこは彼女の温和な微笑みが崩している。アルヴィンはちきゅうやの常連客のお姉さんだ、とすぐにわかった。
「こんにちは。今日も服を見に来たんですか?」
「えぇ、いろんなお洋服を見るのが楽しいんですもの。日本というところにある着物なんて、特に興味があるわ。柄も素材もミッドでは珍しいから」
彼女自身は医療魔導師として手腕を振るっているが、普段は裁縫が好きで、服作りにはまっているらしい。着物に惚れ込んだはいいものの、そのかなり高額な値段に足踏み。なら自分で作ればいいじゃない、と1から勉強しているようだ。わりとガッツがある。
アルヴィンはこれは聞くべきだ、と常連のお姉さんにバリア
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