第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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!!
どうして信じてくれないんだッ!!
いつもいつも一体どうしてこうなるんだっ!?
「シロウッ!!」
セイバーの声と同時にゾクリと氷で出来た槍で背中を刺されるような痛みを感じた士郎が、反射的に干将莫耶を投影すると共に背後を振り返る。
「つおあッ!?」
そこにはデュランダルを大上段に振りかぶるセイバーの姿が。咄嗟に十字に重ねた干将と莫耶を頭上に掲げたが、干将の半分が切り裂かれるのを見るや否や手を離し逃げ出す。咄嗟に横に飛んだ士郎は、地面に足が着くまでに再度投影した黒鍵八本を投擲する。
「甘いと言っている!!」
四本の黒鍵を切り払い叫ぶセイバーに対し、
「―――知っている!!」
士郎も叫ぶ。
「っ?!」
「ブロークン・ファンタズム!!」
セイバーを上下に挟むように飛ぶ黒鍵が、セイバーの頭上で二本、足元で二本爆発した。黒鍵が爆発する直前に士郎の狙いに気付いたセイバーが後方に飛び退る。
士郎とセイバーとの距離が三十メートルを超えた。
「勘弁してくれっ!」
「待ちなさいシロウっ! また逃げるのですか!!」
「当たり前だっ!!」
セイバーが後ろに飛ぶと同時に逃げ出す士郎にセイバーが制止の声をかけ。セイバーの制止の声に、士郎は背後を振り返ることなく逃げながら叫ぶ。
「この距離で―――逃げれると思っているのですかっ!!」
「っやば」
声と同時に魔力放出による加速によって、セイバーが刹那の間で士郎との距離を踏み壊した。鍛え抜かれた士郎の直感が迫る危機を感じ、士郎に咄嗟に背後を振り向かせた。
目の前に迫るデュランダルの眩い刀身に冷や汗を流しながらも、干将と莫耶を投影すると、士郎は迫るデュランダルに逆らわず振り抜かれるタイミングに合わせて地面を蹴り振り抜かれる先に飛んだ。
デュランダルに乗るように飛んだ士郎だったが、デュランダルを受けた干将と莫耶の刀身には深い傷跡が刻まれていた。もう少しタイミングが遅れていたら身体を上下に両断されていたかもしれないなと肝を冷やしながら苦笑いを浮かべる。
セイバーと距離をとることには出来たが、この程度の距離ではまた一足で詰められると判断した士郎は、刀身が半ばまで切り裂かれた干将と莫耶を破棄し、再度干将と莫耶を投影すると構えた。
「観念しましたか」
「……だから何でそこまで殺気だっているんだよ」
右手にデュランダルをぶら下げながらゆらゆらと近づいてくるセイバーの姿に、士郎は沸き立つ恐怖に泣きそうになりながらも剣を構える。セイバーとの距離は二十メートルを切っており、後ろを向いた瞬間やられると判断した士郎は、まるで野生の獣を前にしたかのように、少しずつ後ずさりしたが、距離は
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