第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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みを浮かべた。
「気のせいと言うわけではないのか?」
「多分―――違うと思います。わたしも最初は気のせいだと思っていたんですが……」
「……間違いないと」
士郎の言葉に俯かせた顔を、ティファニアはコクリと更に下げる。士郎は嘘ではないと判断するが、セイバーがティファニアの胸を見る理由が分からない。腕を組み唸り声を上げる士郎だったが、気を切り替えるように小さく溜め息を吐く。
「まぁ、セイバーの視線が気になると言ってもな。まあ気にしないようにするしかないんじゃないか。理由は分からないんだろ」
「はい、分からないんですが……もしかしたら、わたしの胸が変なのが原因ではと」
「……その胸が変じゃないかと考える理由が知りたいんだが?」
両手でその豊満という言葉でも足りない程の大きな胸を両手で持ち上げながら小首を傾げるティファニアの姿に、士郎は微かに赤く染まった頬を引きつらせた。
「じ、実は前からそう思ってたんですが。胸が膨らみ始めた頃から姉さんも変な目でわたしの胸を見てましたし。この前帰ってきた時も、わたしの胸を見て渋い顔をして……アルトもわたしの胸を初めて見た時も驚いた顔をして……わたしはこの村からほとんど出なくて、子供の頃の記憶も屋敷から出た時の記憶が殆んどないから……他の人と自分がどれだけ違うのかまだ良く分からなくて……だから他の人と違うところがこの耳以外にもあるのかもって……この胸が、それじゃないかって」
「テファ……」
涙声でぽつぽつと呟くように話すティファニアの頭に、士郎はそっと手を置く。潤んだ瞳で見上げてくるティファニアの頭を、髪を梳かすようにして撫でる。すんすんと鼻を鳴らす音が聞こえなくなるまで、士郎はティファニアの頭を撫でる手を止めることはなかった。
どれだけの時間が経ったのか、士郎の手を両手で掴んで止めたティファニアは、そのまま士郎を自分の胸に持っていくと、抱きしめるようにその手を包んだ。至高の柔らかさに挟まれる右手の感触に士郎は息を飲む。
「お、おい」
「……シロウさん」
「あ〜その……だな……あ、安心しろテファ。確かに君の胸は少しばかり人と違うが、別に変と言うわけではなく、ただ、そう、魅力がありすぎるんだ。同じ女性でもつい目がいってしまうほどの魅力がな。だから気にすることはない。むしろ自慢に思ってもいいぞ」
下から覗き込むように見上げてくるティファニアから顔を背けながら、士郎は左手の人差し指で赤らんだ頬をかき。ティファニアは士郎の言葉を受け、こてんと小首を傾げた。
「そうなんですか?」
「ああ」
顔を背けながらも、士郎は横目でティファニアを見ながら頷く。ティファニアは士郎が頷くのを見ると、両手でその西瓜の如き胸を持ち上げてみせた。
「……それじゃあ、こ
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