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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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デュランダルの切っ先を士郎に向けたまま、ぶつぶつと何かを呟くセイバーに、士郎が訝しげな声を上げる。

 士郎に声を掛けられ我に返ったセイバーは、赤らんだ顔を勢いよく左右に振る。そんなセイバーの様子に、どんな言葉をかけてもこれ以上は意味がないなと判断した士郎は、随分と荒れ果てた周りをぐるりと見回し大きく溜め息を吐いく。

「っ! な、何でもありませんっ! い、いいから続けますよシロウ!!」
「あ〜もうっ!! もういい!」
「覚悟を決めましたか」

 肩を落とす士郎に向け、剣を振りかぶるセイバー。 

「覚悟ってなんだよ……はぁ……なんでさ……もういい、セイバー」
「何ですか?」

 力なく双剣を握る両手を垂らした士郎が小さく首を振るうと、セイバーが小首を傾げてみせるが、

「手合わせは終了だ」
「は?」

 続く士郎の言葉に阿呆のようにポカンと口を開く。
 剣を向けたまま唖然とするセイバーに背中を向け、士郎は一気に駆け出していく。

「俺はもう帰る」
「シロウっ!!」
「それじゃ」
「……っま、待ちなさいシロウ!!」

 呼び止めるセイバーの声を無視し、士郎は駆ける速度を上げる。木々の隙間を縫うように駆ける士郎の背中を、我に返ったセイバーが追いかけ始めた。

「何でこうなるんだ」

 逃げながら泣きそうな声を上げる士郎。
 まさに風のように駆けるセイバーに追われる士郎は、全身を強化して逃げるが徐々に距離は狭まっていく。その様子に妙にべたつく冷や汗に苛立ちながら、三つの失敗のうち、その最後の原因を思い出していた。
 それは昨日の夜のことであった。
 














 騒ぐ子供たちが寝静まった夜深く。
 深く椅子に座り込んだ士郎が、窓から覗く双月を眺めながら時折手に持ったグラスを傾けていた。

「ふぅ」

 ワインが口から喉を通り胃に流れ込む。グラスを傾ける度にアルコールが身体に回り、一日の疲れを癒す。グラスが空になると、テーブルの上に置いたワインが入った瓶の中身を入れる。グラスの中身が空になり、三度瓶を傾ける頃、背後から香ばしい香りと共に甘い香りを感じた。

「おつまみと晩酌相手はいかがですか?」
「テファか、そうだな丁度つまみが欲しいと思っていたところだ」
「ふふっ、今日は特に大変でしたから、お疲れ様でした」
「ああ、最近セイバーが何だか荒れていてな。朝の訓練の厳しさが激しくなる一方だ。特に今朝なんて……テファは何か理由を知らないか?」
「えっと……ちょっとわたしには」
「そうか」

 つまみが入った大皿を置くと、ティファニアは士郎の隣に座る。大皿に乗ったつまみを小皿に分け、士郎の前に置くと、ティファニアはじっと士郎を見上げ
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