第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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ながらとんでもないものを渡してしまったな……デュランダル……絶世の名剣か……伝説に偽りなし―――か」
「今の士郎の全力が見てみたい」そう言われ、士郎がセイバーに渡した投影した剣。
それはデュランダル―――中世ヨーロッパにおける聖騎士であるローランが愛用した聖剣であり。三つの奇跡を持ち、所有者の魔力が尽きようと切れ味を落とさない輝煌の剣。
エクスカリバーはさすがに無理であることから、最初はカリバーンを渡そうとした士郎だったが、過去を否定しなくなったとはいえ、今のセイバーは国を失った直後である。そんな時に王を象徴するようなカリバーンを渡すのはと考えた士郎が、代わりに渡したのがデュランダルだった。渡した時は、せめて少しでもエクスカリバーの代わりになるような剣をと考えていたことから、切れ味ならばエクスカリバーさえ凌ぐ剣であろうデュランダルをと考えていたのだが……。
「……まともに剣を合わせず逃げるなど……それでも剣士ですかシロウ」
「……剣士でもある、だよセイバー」
乾いた笑みを浮かべ応える士郎は、切り裂かれた干将莫耶を再度投影する。
セイバーはその華奢な体付きから考えられないほどの豪剣の使い手だ。魔力放出により強化された斬撃は、受ける相手の剣ごと切り伏せる。元々セイバーの攻撃は、そこらの英霊ではまともに受けることさえ出来ないものだ。縦横無尽に掛け抜ける暴風の如き剣撃は、受ける相手の剣を弾き、地を踏みしめる身体を吹き飛ばす。
そのセイバーが切れぬものなしと呼ばれるデュランダルを持って振るえばそれはもはや致死の風。
凄まじい切れ味を持つ剣を、豪剣を生む力でもって振るえば、それはあらゆる立ち塞がる武器防具をも切り裂くとまることなき凶風。
「これでは試合ではなく死合だセイバー。頼むから落ち着い―――」
「ワタシハジュウブンスギルホドオチツイテイマス」
「いやいやいやいや落ち着いてないから。完全に止めるきなんてないだろ。セイバーが怒っているのはあれだろ、昨日のティファニアとのこと―――」
「オオオオオッ!!」
「っぐお!!」
飛び掛かりデュランダルを振り抜くセイバー。慌てて木の上から逃げ出す士郎の目に、先程足元にあった巨木が縦に切り裂かれる姿が映る。土草を巻き上げながら滑り大地の上に立った士郎は、真っ二つに切り分けた巨木の間から飛び出したセイバーに、再度手を突き出す。
「だから落ち着けってセイバー! ティファニアとは本当に何でもないって言ってるだろっ!」
「関係ないと言っている!! ……胸の大きさは関係ありません、要は形です……そう、大きさよりも形なのです」
「セイバー?」
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