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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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っと首を振った。

「そう、か」
「だから、早く行ってください」

 俯き呟く士郎に、セイバーは森を指差してみせた。

「え?」
「呼ばれているようですよ」

 セイバーが言っている意味が分からず、疑問の声を上げる士郎。しかし、誘われるようにセイバーが指差す先に視線を移動させると、森と村との境界線上に、水銀で出来た鏡のようなものが浮かんでいた。

「あれは」

 立ち尽くす士郎に、隣に立つセイバーが囁く。

「守るのでしょう」

 セイバーの声が聞こえた瞬間、士郎はハッと気を取り戻すと、苦笑を浮かべ大きく頷き駆け出していった。

「ああ。そうだな……行ってくる」
 
 速度を緩めることなく、銀色の鏡の中に飛び込む士郎の後ろ姿を見て、セイバーは何処か寂しげな表情を浮かばせながらも、優しく囁きかけるように呟いた。




「……本当にあなたは変わりませんね……シロウ」




 その声に応えるものは……誰もいなく。





 森と村との境界線の上、一人立ち尽くすセイバーは空を仰ぎ見、ゆっくりと目を閉じた。
 
 

 

 






 
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