第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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を変え士郎に話しかけた。
「話しを聞いた限り、恩は十分返したと思えるのですが……やはりあなたは使い魔の契約の印は消えても行くのですね」
セイバーは士郎がこの世界に来てから今まであったことを聞いていた。もちろん言えないことは多々あったが、殆んど全ては話していた。ルイズのことも勿論話しており、だからこそ、セイバーは士郎がルイズの使い魔になることを了承した経緯について知っていた。
「セイバーだったらどうだ。令呪が無くなれば、さっさと俺を見限っていたか?」
「そうですね。馬鹿なことを聞きました」
小さく笑い首を振るセイバー。
「……さっきも言ったが、ルイズにはまだ俺が必要だ」
「必要……ですか」
「ルイズは飛び方が分からない雛みたいなものだ。飛び方が分かれば、どんな鳥よりも高く疾く飛べるだろう。今は巣の縁で羽をばたつかせているが、もう少しで飛べるようになる。それまで守ってやらないとな」
「過保護過ぎませんか?」
「あと少しだけだ。一緒に飛ぶ仲間もいることに気付けば、俺なんていらなくなる……それまで―――」
「―――馬鹿なことを言わないでください」
セイバーが士郎の声を強引に遮った。
「セイバー?」
ハッキリと怒りと苛立ちが感じられる声に、士郎が戸惑った声を上げる。セイバーは胸を抑え、絞り出すように話しを続ける。
「そんなわけがない。シロウがいらないなんて思うはずがない」
絶対の確信を持った声に、士郎は何も言わない、いや、言えない。ただ、黙ってセイバーの話に耳を傾けるだけ。
「……」
「例え一人で飛べるようになっても、共に飛ぶ者に気付いたとしても、そんなこと思うはずがない」
「……どうして」
士郎の声が響く。
「どうしてそう思うんだ」
その声には、様々な感情が入り混じっていた。
優しさ、慈しみ、期待、不安、恐怖、悲しみ、喜び、本当に様々な感情に満ちていた。
そんあ声に、セイバーは柔らかく応える。
「それは分かりますよ」
木から背中を放したセイバーが、ゆっくりと歩き木をぐるりと回ると士郎の前に立つ。
「何故だ」
「何故と言われても、その子は私と同じように」
二つの月によるスポットライトを浴びながら、セイバーはゆっくりと士郎に近づいていく。
士郎の目の前に立ったセイバーは、柔らかく微笑むと、そっと士郎の頬に手を伸ばし、
「あなたに恋をしているからです」
キスをした。
「っ……アルトリア」
「ん……これ以上は駄目です。……これ以上したら、引き止めたくなってしまいます」
そっと士郎から離れたセイバーは、その顔に儚げな笑みを浮かべると、そ
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