第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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どんどんと詰まっていく。
「昨日のことは倒れたティファニアを助けただけだって言ってるだろっ!!」
「そんなことは分かっていますっ!」
「ちょっ、ま、待て! わ、分かっているなら何でそこまで怒ってるんだっ!」
「知りませんっ!!」
「なんでさっ!!」
大上段にデュランダルを構えたセイバーがジリジリと距離を詰めてくる。逃げ出す隙を涙目になりながら必死に探す士郎だったが、流石というかそんな隙は何処にもない。
「反省しなさいッ!!」
「する前に死ぬからっ!!」
セイバーが足に力を込めたことに気付いた士郎だったが、逃げる先が見つからない。悲鳴のような抗議の声を上げながらも覚悟を決めた士郎が、迫るデュランダルを十字に構えた干将莫耶で受け止めた瞬間、
「セイバーッ!!」
「っ!?」
干将莫耶を切り裂き士郎の額の直前でデュランダルがピタリと止まり。
「そこだっ!!」
デュランダルを突きつけられた姿のまま、士郎は投影した黒鍵を一本セイバーの背後に投擲した。
「っ!?」
士郎の手から放たれた黒鍵は、一瞬で百メートル以上の距離を切り裂くと一本の巨木をヘシ折った。巨木を貫いた黒鍵はそのまま地面に深々と突き刺さる。黒鍵が地面に突き刺さった瞬間、爆発音と共に衝撃波が生まれ、巨木の後ろにいた人間を吹き飛ばす。
巨木の影に隠れていた人物は、ごろごろと地面の上を転がると、転がる勢いを殺さずそのまま立ち上がり逃げ出そうとするが、
「「動くな」」
左右から首に突きつけられた剣の気配にピタリとその動きを止めた。地面に四つん這いの形で動きを止めた相手を、士郎たちは油断なく見下ろす。士郎とセイバーが剣を突きつけた相手はフードで全身を覆っていることから、顔どころか体型すら判別はつかない。
「ゆっくりと立て、不審な動きをすればどうなるかは分かるな」
「っ……」
士郎の言葉に従い、フードを被った男? が両手を頭の上で組みゆっくりと立ち上がる。
「お前は何者だ、何故こんなところにいる」
剣の切っ先を突き付けながら士郎が詰問すると、フードを被った男? は深く息を吐くとゆっくりと振り向く。
「―――随分な挨拶だな……エミヤシロウ」
「ん? あ……君は確か……銃士隊の」
「アニエスだ」
フードを外しながら振り向いたのは、トリステイン銃士隊隊長であり、アンリエッタ女王の腹心であるアニエス・シュヴァリエ・ド・ミランであった。
「……何時まで剣を突きつけているつもりだ」
「あっ、すまない」
アニエスが突きつけられる剣の先を指先で掴むと、じろりと士郎を睨み付ける。士郎は慌てて剣を戻すと、隣にいるセイバーに視線を送り剣を
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