十九 最後の舞台
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る。
(…――そうだ。ナルトを支えてくれる可能性の芽を摘んじゃいけない)
だから目の前の子どもを。助けなきゃ、救わなきゃ、守らなきゃ。
守るという言葉を小さく口にした途端に、右手が眩いばかりの光に覆われた。なぜという疑問は後回しにして、横島は竹のように伸びたソレを頭上に伸ばす。
篭の手のようになっている栄光の手は高所にある木の太い枝を掴んだ。伸縮自在である故にソレを縮めると、横島の体も一気に上昇する。
そのまま彼は木の上に潜んでいる男の後頭部をガンッと蹴った。
「ついでにコイツの首をハネてやれ」
死の宣告を受けた子どもは、背後にザッと降りてくる存在に身構える。
しかしその存在は降りてきたのではなく、落ちてきた。
「!!な、お前どうした!?」
八人の忍者達が落ちてきた仲間に向かって戸惑いの言葉を掛ける。その時、仲間が落ちてきた木の上でガサリと葉音がした。呆気にとられている子どもも八人の忍者達も、その音がしたほうへ一斉に振り向く。
射抜くような視線を浴びながら、横島は[栄光の手]と文珠の効果をそっと打ち消した。まだ文珠の【隠】の効果が後で使えるのを確認して、それをポケットにつっこむ。
ポケット内を確認した横島は、おもむろに片手を顔に当てた。
震える全身。どくどくと高鳴る鼓動。
すうっと深呼吸して手を額から顎に掛けてゆっくり下ろす。
(コレが…最後だ…)
手が下へ下がるにつれ、横島の眼光が強くなっていく。それと同時に深い翳りが瞳の奥に過った。
(コレが最後……―――だから)
全身の震えが止まる。
手が顔全体を撫で終わるその頃には、彼の心臓は通常の音を奏でていた。
「これが俺の……横島忠夫―――最後の舞台だ」
一度は傾壊した至大至剛な仮面を、再びつける。
先ほどと違い明るく快活な表情を浮かべ、[横島]はニィッと笑った。
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