十九 最後の舞台
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入った。
ビクリと肩を震わせた彼は、文珠に【隠】の字を入れる。すぐさま文珠を発動させ、横島は声のするほうを窺った。
「なんだ。まだガキじゃね―か…こんなのに全員捕まっちまうとは…!」
「これが噂に聞く木ノ葉の【影しばりの術】か…」
「あ―。言い方が古いぜ、それ」
男の声に紛れ、子どもの声がする。一瞬ナルトかと思ったがどうやら違うようだ。しかしどこかで聞いた事のある声だったので、身を潜めながらも横島は目を凝らした。
子どもが八人の男達に取り囲まれている。その子どもの顔を目にした横島は思わず声を出しそうになって慌てて口を押さえた。
堤防でナルトと一緒にいた、髪を頭の天辺で纏めている黒髪の子ども。彼が八人の忍者達と対峙している。
(えっとナルトが名前言ってたよ〜な?…なんだっけ。動物の名前みたいな…。あ!そうそう。シカ…シカ三角やったな!)
うんうんと満足げに頷く横島の眼前では、殺伐とした空気が流れていた。
「時代は流れてんだよ…今は【影真似】って言うんだよ、オッサン!」
大の大人に囲まれているにも拘らず、子どもは物怖じせずにニヤリと不敵な笑みを浮かべる。しかしその声にはどこか焦りの色が見えた。
なぜか八人の忍者達は動きを止めている。子どもの影が忍者達の影と繋がっているのを見て、横島は眉を顰めた。途端に三代目火影の記憶が彼の脳裏に蘇る。
自身の影を自在に操り相手の影と繋げる事で、自身と同じ動きを相手にさせる術。
ならば彼らは子どもに動きを止められているのだろう。しかし八人全員が余裕の表情である事に横島は不安を抱く。子どもが両手にクナイと手裏剣を構えた際も、彼らの余裕は崩れない。
手裏剣とクナイが八人の忍者目掛けて放たれる。人数分のソレらは確実に当たると横島は予測した。
しかし次の瞬間、クナイと手裏剣は何かに弾かれ、地に墜ちる。
「フフ…」
八人の忍者の一人が笑みを浮かべる中、子どもと横島は一斉に傍の木を見上げた。子どもには距離のあるその木から、誰かが潜んでいる気配が確かにする。
(まだ仲間がいんのか……不意打ちで倒せっかな〜)
呑気な言葉を心中呟きながらも、横島は右手に霊力を込めた。[栄光の手]を伸ばして木の上に行こうという考えである。しかし伸縮自在に伸びるはずのソレはなぜか短いままだった。
(あれ…?え、ちょっと待て。なんで)
横島は未だ霊能力の基盤が煩悩だと思っている。ナルトの熱を下げる際に霊能力の基盤が〈煩悩〉から〈守護〉に変わった事に気づいていないのだ。そのため霊能力の出力が上がらず、注ぎ込む霊能力にて形を変える[栄光の手]を伸ばす事が出来ない。文珠は威力の大きさに差があるが、栄光の手は伸縮に落差が出てくるのだ。
焦燥感が募る横島の耳に、子どもの荒
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