十九 最後の舞台
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にしか見えない彼なら大丈夫だと、里外へ行く経路を教える。金も買い物帰りだったようだから彼が持っているし、意外と強いみたいだから一介の忍びと出会っても問題ないだろう。
とにかく木の葉の里から遠く離れてほしかった。後に戦場となるこの里から、そして今現に忍び同士で闘っているこのような危険な所から、あの忍びには向いていない優しく甘い人間を遠ざけたかった。
(今頃は国境あたりか……それとも文珠とやらの力で元の世界に帰ったかな)
担当上忍の言葉が遠く聞こえる。一尾を宿す砂の忍びを追い駆けるように急かす彼の声に促され、ナルトは火影にちらりと視線を送ってから走り出した。
轟く音の発生場所に目を向けて、横島は唖然とした。
「なんじゃこりゃ……」
里のほうから聞こえる、ドオオンという地鳴りのような音。遠目に見える、里内を闊歩する大蛇。
なんというか、まるで映画である。
(…なんやねん一体…怪物映画のロケかよ…)
遠くなる気を奮い立たせるために心中で冗談を呟く。今すぐに遠ざかりたい気持ちを抑え、音信源である里に向かって横島は足を進めた。
逃げるという選択肢があった。自分の世界に帰るという選択肢もあった。けれど昨日別れを告げてきたナルトの顔が横島にはどうしても忘れられなかった。
(アイツはこうなる事がわかってたんじゃないか…?)
昨日と一転して戦場になっている里へ視線を投げる。何が原因でこうなったのかはわからないが、誰が見ても今の木ノ葉の里は危険地帯であった。そんな危険な場所であるにも拘らず、横島は里に足を踏み入れようとする。
(きっと里がこんなふうになるからわざと俺を逃がしたんだ…)
ナルトに連れて来られた森から離れ、どこか見知らぬ木立の合間を横島は彷徨っていた。だが彼の足は確実に里の方向へ向かっている。それは三代目火影の記憶を読んでいたためである。
横島の目がある一点を見据える。彼の視線の先には一般人には視えぬモノがうようよと群がっていた。
里に近づくにつれ、後から後から増えてきているそれらの声が聞こえてくる。
『俺はまだ闘える!』『くそッ、音め…。砂と組んでいたのか』『木ノ葉崩しはもう誰にも止められやしない』
頭にクナイを突き刺した者、腕がなく血塗れの者、下半身がない者。額宛の模様は違えど、何れも忍び装束を着ている。
(この短時間にどんだけ死んでんだ……忍者って恐ろし―な…っ)
横島の眼にしか視えていない忍者の霊達が喚いている。聞こえないふりをして彼は先を急いだ。
万が一の事を考え、文珠を五つばかり生成する。体内にストックし、その内の三つを取敢えずポケットの中に捻じ込んでいると、霊ではない生者の声が横島の耳に
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