Episode2 《圏外》
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街までの道、俺の後ろを歩く少女は終始無言だった。時折、何かを話そうとする気配はあるのだが、言葉が発せられることなくその口は閉じられる。不安げに見上げている目に何も言葉を返せない。
その不安がハズキに由来するものなのか、それとも……俺に対してのものなのか、計り兼ねていた。さっきまで空元気でも明るく振る舞っていた少女が黙っていることがどうしても不安だった。
しかし、それも一歩街へ踏み入れるまでだった―――。
「カイトさんっ!次っ、次あれ食べますっ!」
本当に笑ってしまうくらいアカリは元気になった。今も両手に謎の串焼きを持ち、その上まだ何か食べようとしている。
「待て待て。次のってどうやって食べる気だ?」
「へっ?…あぁっ」
一瞬惚けたような顔をしたアカリは視線を自分の両手に振って、心底驚いたような声を上げた。
しかし、うーん、と2秒ほど唸ったあと、パッと何か閃いたようにアカリがはにかんだ。
「こっち食べてくださいっ!」
有無を言わせぬ勢いで右の串を押し付けられた。俺が串を受け取ったのを確認したアカリは満足そうに笑うとお目当ての店へと駆けていった。
「それくーださいっ!」
恰幅のいい店主のおばちゃんからクレープらしきものを受け取るアカリを見ながら、ほぼ無意識のうちに食べかけの串を口へ運んだ。何とも形容しがたいほろ苦い味に微妙な顔をしている俺の元へ、満面の笑みでアカリが帰ってきた。
そのあとも何軒も色んな店を連れ回され(実際筋力優先と敏捷優先というステータス差のため、袖口を掴まれ有無を言わせず引きずられた……)、最終的に俺が最近お世話になっている宿屋に落ち着いた。
時刻も22時を回ろうかという頃で、宿屋の一階に併設された食堂の丸テーブル、その向かいに座るアカリが眠そうに目を擦った。
「眠いか?もう寝てもいいんだぞ?」
「ふにゅ…あっ、カイトさぁん。…一つ聞いてもいいですかぁ?」
眠たさのせいか、妙に間延びした声でアカリが聞いた。
「なんだ?」
「あの、《ケンガイ》ってなんですか?」
「あぁ、《圏外》のことか。えっとな…」
口を手で覆いながら欠伸を噛み殺す少女に、慎重に言葉を選びながら答えた。
「《アンチクリミナルコード有効圏内》ってのがあってだな」
「アンコ…クリームパン?」
とんでもない聞き間違えをするアカリに苦笑しながら話を続ける。
「アンチ、クリミナル、だよ。この街なんかもそうなんだけど、その《圏内》に設定された場所だとプレイヤーがプレイヤーに被害を加えることが出来ないんだ」
「えっとぉ、悪いことは出来ないってことですか?」
「まぁ、めちゃくちゃ単純に言えばそういうことになるかな?で、逆に
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