第3話 その転移先は………
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メイドさんは部屋から出て行った。
しばらく「これからどうすべきか?」と言う難問を考えていると「失礼します」と改めてメイドさんから声がかかり、他に2人の人物を連れて戻って来た。
「気分はどう?」
黒紫の髪という艶やかな髪をなびかせて高校生ぐらいのお姉さんが声をかけてくる。その後ろには体を隠すようにオレと同じ歳ぐらいの女の子が控えている。顔立ちが似てるので多分姉妹なんだろう。
「おかげさまでなんとか。ただ………」
「ただ?」
「何故此処にいるのかわからないんです」
言ってしまった。結局、なにをどう言えばいいのかわからないのでわからない振りをした。
まぁ、あれだ。よくよく考えてみたら、一般人なら魔法の秘匿上話すべきじゃない。裏の関係者なら話してもかまわないんだろうけど、よくよく考えてみたら、「ナギ・スプリングフィールド」の息子って日本で話したらまずくね? バカ親父の予定通り詠春さんに保護されてたらともかく、確か関東と関西で対立してたような気がするし。
そもそも、このまま上手くいけばイギリスに帰らなくても良くね? 素性を隠して日本の孤児院にでも入れれば原作と関わらずに生きて行けるんじゃね?
「そう………」
オレの返事を聞いて、お姉さんは顎に手を当て、小首を傾げて少し考える。
「わかったわ。どうも混乱しているようだから2〜3日様子を見ましょう。ノエル、ファリン少しの間、世話をしてあげて」
「「わかりました」」
「そうそう。自己紹介もまだだったわね。私が月村忍。それでこっちの娘がノエルで、こっちの娘がファリン。家でメイドとして働いてもらってるわ。君の世話をしてもらうことになるわね。あと、この子がすずか。私の妹で、君を最初に見つけたのもこの子になるわ。仲良くしてあげてね」
「そうですか。よく覚えていないのですがありがとうございました。オレの名前は………。名前は? サギって呼ばれてたような気がします。しばらくの間、お世話になります」
布団に上半身を起こした上で、ぺこりと頭を下げる。名前を言うべきか迷ったんだが、呼ばれる名前がないのも不便だろうとスプリングフィールドの姓を出さずに名前だけを告げた。しかし、改めて日本語で話すと「サギ=詐欺」って名前はどうなんだろう? 「ネギ=葱」も大概なんだが、「○ギ」って名前をスプリングフィールドの男の名前につけることに決めたご先祖様には一言もの申したいわ。
「よろしくね〜」とはにかみながら手を振って、直ぐに忍さんの後ろに隠れたすずかちゃんはかなり可愛かった。
久しぶりに米を食べた。正確には今世では初めて食べたんだが。
まぁ、最初はおかゆだったがあまりに懐かしくて涙
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