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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
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れてきた! うっとしいと思われて! 化け物と思われて!」
「でも、そんな力があったからこそ、今の僕がある!」
「俺は、俺は……ただお前が羨ましかった!!」
 いつの間にかシキは大粒の涙を頬に流しながら、レイフォンにぶつけていた。溢れ出てくる感情を押さえ込まずに発散する。
 そのせいか、剄が溢れてきた。
「だからこそ、僕は謝るよ、シキ」
 レイフォンも涙を流しながら、シキに向かって頭を下げた。
 そんなレイフォンを見て、シキは涙を止めて呆然としたが次には笑顔を浮かべていた。
「ハハハ、話し合いって大事だな」
「そうだね、シキがこんなに羨んでくれてたなんてね」
「うるせえ、お前だって羨んでただろう」
 コン、と防護服の胸の部分を叩くシキ、それを返すようにレイフォンもシキの胸を叩いた。
 この日、レイフォンとシキは本当の家族になれた。……で、綺麗に終わればいいのだが、そんなわけにはいかない。
 吹き飛ばされた老生体が、起き上がってもう一本剣を出して二人に襲いかかってきたのだ。
 しかし、レイフォンとシキは目配せも合図もなく、同時に振り向いて同時に衝剄を放った。
 再び、吹き飛ばされた老生体を見て、二人は笑みを浮かべる。
 そこで、レイフォンは思い出したかのように剣帯に手伸ばして、一つの錬金鋼を取り出した。
「シキ、これ」
「……ないと思ってたらお前がもってたのかよ」
 シキは苦笑しながら、剣を地面に突き刺してから、それを受け取り復元する。
「レストレーション01」
 シキの手に刀が握られる。
 決して馴染むことがないと思っていた感触が、今では心地よかった。
 だからこそ、シキはさっき言ったことを撤回することに決めた。
「やっぱ、刀もいいな」
「剣もいいよね、貸してよ」
 シキは地面に刺していた剣を足で蹴り上げて、レイフォンに渡す。
 レイフォンは天剣をしまいながら、それを受け取った。
「なんだよ、気に入ってたのか?」
「あぁ、悪くはないって思えてきてさ」
 軽口を叩き合う二人は、一転して真面目な表情で着地し、剣を構える老生体を睨めつける。
「さぁて、じゃあお互いの不満武器であいつやっちまうか」
「いいね、じゃあ壊してもいいよね、これ」
「壊しちまえ。そしてパーっと新調すんぞ!」
 シキの気分は最高だった、そしてレイフォンもそうだった。
 今の二人には誰にも勝てない、そう感じられるほどに。
「よっし、じゃあ行くぞ?」
 まず、シキが地面を蹴り砕いて加速した。砕いた音よりも早く、到達したシキは回し蹴りを老生体に叩き込む。
「速いなぁ」
 そう言いつつレイフォンも負けず劣らずの速度で、老生体の顔面を殴り飛ばした。
 直後、轟音が響き渡り老生体は血を噴き出しながら背後にあった岩山に激突する。

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