第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
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を切り落とす。
安全になったところで少年、レイフォンが手を挙げる。
「久しぶり」
「おお、久しぶり、レイフォン」
シキは同じく手を挙げて、レイフォンと挨拶する。
「元気……そうだね」
「あぁ、めっちゃ元気。なんか汚染物質を克服したけどな」
「なんでシキは、いっつも奇想天外な状態になるのさ」
二人の会話は至って穏やかだ。この間、殺し合いを演じたようには思えない。
「知らねえよ、お前も意外とそうなってるんじゃないか?」
「僕は人間だよ、シキみたいな規格外とは違うさ」
レイフォン、基本化け物スペックだがシキとなんかとは比較にならないのは事実である。
そんな態度だからか、シキが憤慨する。
「お前が言うな! こんの化け物!」
「そっちだってそうだろ、化け物!!」
ピキとどこからか音が聞こえる。
「うるさい、ヘタレ!」
「そっちもだ!!」
ピキピキと音がさらにうるさくなる。
「はっ! 慣れないのに剣使ってさ、馬鹿じゃねえの?」
「意地張って、下手くそな刀で戦ったのはどこの馬鹿だっけ?」
「はん、剄技なら俺の方が上なのにさ」
「えっ? 火力ばっかで技量がなっちゃいない人が何言ってるの?」
「真似事ばっかで劣化しか使えないのは悔しいよね!」
「全力が出せなくて、出費のほとんどが錬金鋼に消えるのは悔しいよね?」
もう戦闘なんて雰囲気ではない。二人は顔を当てて、ゼロ距離で罵声を浴びせ続ける。
「大体、お前がさっさとサイハーデン継げばこんなことにはなんなかったんだぞ!」
「君が色々と背負い込むからでしょうが! 父さんだって悩んでたんだよ!?」
「うるせぇ! 金稼ぎが汚いことだって思って刀捨てやがって、あんとき父さんめっちゃ落ち込んでたんだぞ!?」
「僕は僕なりの理念があるんだよ! この唐変木!」
「あぁん? 姉さんの気持ち考えずにいっつも泣かせてる野郎が何言ってやがる」
「シキだって、クラリーベル様を泣かせてる!」
「あいつは弟子だよ! さらに王族だよ!! てか、妹以上の感情を持ったことはない」
「GAY――」
「「黙ってろ! トカゲ野郎!!」」
突っ込んできた老生体に、ただのパンチをして吹っ飛ばす。
だが、剄の乗った拳を顔面に受けて、仮面の破片を落としながら、老生体は三十メルトルまで後退させられる。
「大体、昔から気に入らなかったんだ。なんか達観したような目で見やがって」
「僕も気に入らないね。人が苦労したことを楽々飛び越えてさ!」
「こんな才能があるから恐れられた!」
「僕はそれが羨ましかった!」
シキとレイフォンの声に段々と泣き声が入ってくる。
「優しくて、強くて、チヤホヤされて!」
「シキだってそうだろ! 僕はいつも君の背中を追いかけてきた」
「俺はいっつも恐れら
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