第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
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金鋼を熱していく。錬金鋼が悪いわけでもない。シキが規格外すぎるのが悪い。
「あー、でも制御しないとこれからキツイし」
シキはため息をつきながら、赤くなってきている銃を待機状態に戻す。
本当なら拳で殴ったほうが早いし、そのほうがシキは早く動ける。……今でも十分速いのだが。
だが、制御を怠り好き勝手に剄を垂れ流すことは、都市を破壊することに繋がる。
溢れ出す剄が衝剄に自動変換されるのだ。ただの武芸者ならまだしも、天剣以上女王未満であるシキの衝剄が一般人に直撃したら……結果は言わなくてもわかるだろう。
だからこそ、シキは戦いの中で制御しようと考えていた。
そのかいあってか、大分剄のコントロールは改善されてきた。
「レストレーション02」
封じてきた武器だったが、先のレイフォンとの戦闘で吹っ切れていた。
シキは、サイハーデンの後継者になりたかった。自分よりもレイフォンのほうを選んで欲しかった。だからこそ、我慢して刀を使ってきた。
だけど、あの戦いでシキは負けたのだ。完膚なきまで。
デルクはレイフォンを後継者と選び、刀の天剣はレイフォンを選んだ。即死級のコンボだった。笑うしかない、今までの努力が水の泡になったのだから。
「シッ!」
老生体の剣が振り下ろされる。
シキは無理に受け止めようとせず、刀身に這わせるように受け流す。老生体の剣が地面を砕いた瞬間、シキの剣は老生体の胸に傷を負わせていた。
続いてカギ爪が襲ってくるが、その頃にはシキはその場から下がっている。
ひと思いに切り裂ければいいのだが、今の錬金鋼で出せる切れ味では老生体を殺しきれない。いや、殺しきれるだろうが錬金鋼が持たない。そんなことになったら新調する槍とともに金がかかってしまう。それだけはシキは避けたかった。
「刀あればなぁ。今までの思い出とともに全力でぶっ壊せるのに」
そんなことを言った瞬間、どこからか飛んできた閃断が老生体の左腕を切断する。
そしてシキの目の前に、見慣れない防護服を着た、見覚えのある剄を持った少年が停止した。どうやら急いで走ってきたようで、砂埃で少々汚れていた。
「……」
「……」
無言で見つめ合う二人は、お互いに拳を握り、思いっきり振りかぶった。
そこに、老生体が咆哮を上げながら向かってくる。だが、二人は拳を相手に振りかぶったまま老生体を見ない。
「GAYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
苛立ったのか、老生体はかぎ爪を二人に向けた。
今まで最も鋭く速い攻撃は、瞬きもしない間にシキと少年に襲いかかる。
次の瞬間だ、勢いよく方向転換した二人の拳がかぎ爪に当たり、かぎ爪が内部から爆発した。
外力系衝剄の変化、剛力徹破・突。
二人は息の合った動きで、残りのかぎ爪
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