第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
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はそれでちと困るが」
最後のトドメと言わんばかりに、ティグリスは剄で作った矢を上空に放った。
外力系衝剄の変化、震天。
上空に放たれた衝剄は、無数に分裂し雨のように老生体の体に突き刺さっていく。単純な剄技だが、効果範囲とティグリスの剄が合わさって並みの汚染獣では耐え消えないほどの威力となっている。
老生体も幾つか迎撃できたが、一発当たった瞬間、なし崩し的に当たっていき、頭部を破壊されたところで絶命した。
「一体こやつらはなんのために出てきた? 時間稼ぎにすらならんぞ」
『シキさんを殺すためでしょうか? ……いえ、憶測に過ぎませんからなんとも』
デルボネの意見に、目を細めるティグリスは錬金鋼をしまいながら今もなお戦っているシキの方を向く。
「ふむ、苦戦しているようじゃな」
『一瞬の気の緩みが、錬金鋼の暴発につながりますし……おや?』
デルボネの声が一旦途切れ、嬉しそうな声が聞こえてくる。
「どうした?」
『いえ、少し微笑ましかったもので』
「微笑ましい? どういう……」
ティグリスが質問しようとしたとき、爆発音と共に地面が揺れた。
「ちぃいいい!! レストレーション06!!」
シキは銃を復元させ、目の前の敵目掛けて乱射する。
しかし、老生体はその速度と圧倒的技量で全弾避けてきた。そしてシキに目掛けて剣とかぎ爪を振り下ろす。
シキは銃口に付けてある尖った部分で、切り裂き、打ち払いながら避けていく。
そして数発の銃弾を撃ちながら、距離を離す。
「ちょっと舐めてたわ」
シキは久々に味合う底冷えた感覚に震えつつ、目の前の強敵を見た。
基本的に、先ほどまでの人型老生体と大差ないが、実力が桁違いだった。最初に戦っていたのがコイツであれば、多少苦戦はしただろう。
シキは負ける気がしなかったが、簡単に勝てるとも思っていない。
今の銃もそうだが、ある程度シキと打ち合えるだけの実力を持っている。その上、再生速度が異常に早い。切り落としたはずのカギ爪が既に再生されて、シキを狙っている。
「片腕だと結構キツイな」
そう呟くシキ。
腕がないというハンデももちろんあるが、決め手にかけるというのも問題であった。
鋼糸が使えれば、話は違ってくるのだが、片腕で制御できるほどの技量もない。ヘタをすれば老生体もろとも肉屋に並んでしまうほどに切り刻まれる可能性もある。
次に破壊力があるのが、手甲と甲掛を使ったルッケンスの剄技なのだが、今のシキには錬金鋼を差し込む専用のスリットがないため、復元できないという最悪の状況である。
後に、シキは鋼糸を手袋から剣型の物に変更する。閑話休題。
それにシキにはさらに不利な点がある。言わずもがな膨大な剄だ。
さらに増大した剄は、コントロールしていても錬
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