暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
[3/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はしなかったが体勢を崩す。
 そこにルイメイの手が伸び、老生体の鱗を破壊しながら肉に食い込む。
 そのまま圧倒的な筋力で、上に持ち上げられた老生体は体の異変に気づく。腕が、足が動かないのだ。
 何事かと思った瞬間、老生体は自身の体が大きく膨れ上がっているのに気づいた。そして、爆発した。周囲を巻き込み、老生体の肉片が飛び散る。
 煙が巻き起こるが、鉄球を引き戻した時に風が発生し、煙が晴れる。
 そこには傷一つない、リヴァースとルイメイの姿があった。よく見ると、リヴァースがルイメイの盾になって爆発から守っていた。そうしなくてもルイメイなら平気なのだが。
「おいおい、ここまで守ってもらわなくてもいいんだぜ?」
「ダメだよ、ルイメイ。君はもうお父さんなんだから」
 その一言でルイメイは何も言えなくなる。
 暴れん坊でいい加減なルイメイだが、こと子供や孤児のことになると人一倍心配をするようになった。これも、ルシャやシキのおかげである。
 照れくさそうに頬を掻くルイメイに、リヴァースは笑う。
「たく……俺も甘くなったもんだ」
「いい事だと思うよ? あっ、今度ティアと一緒に見に行ってもいい?」
「あぁ、もちろんだ。その代わり、お前らの子供見せろよ?」
 今度はリヴァースが頬を掻く番だった。
 リヴァース・イージナス・エルメン、彼は天剣の中で一番弱く、同時に一番強い存在である。


「久々の戦闘じゃな」
『そうですねぇ、無茶だけはしないでくださいよ? ただでさえ歳で剄脈に負担がかかるんですから』
「お前が言うな。お前もいい加減引退したらどうじゃ?」
『後継者が現れないもので……お互いいい歳ですしね』
 ティグリスは呑気にそんな会話をしている。会話だけ見ると、仲の良い老人がしゃべっているように思えるが、実際は巨大な矢を持った老人が二百メルほど先の目標に、矢を正確に撃っている。
 まるで機械のように正確な射撃だが、それは長年の経験と訓練の賜物である。
「シキの方はどうじゃ? この程度ならやられることはあるまい」
『ええ、今のところは優勢ですよ? ただ、上昇した剄に振り回されてますね』
「また上がったのか、あやつは」
 そうため息をつきつつ、ティグリスの矢は老生体の右腕を射抜いた。綺麗な風穴が空いた老生体だが、瞬時に再生してしまう。
「ふむ、回復速度はいつも通りじゃな」
『むしろ遅いですね。人型になったために能力が落ちたんでしょうか?』
「知らん。しかし、気に入らんな。十年前のあの老生体と同じとは」
 いつもなら優しげな瞳が、険しいものに変わる。
 苦い記憶を思い出させる、老生体に少々イラついているのだ。心なしか、矢の速度が上がった気がする。
 デルボネはそんなティグリスを見てコロコロと笑う。
『若いですね、この
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ