閑話 一
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外へ出て行った
後に残るのは何が起こっているのかまったく理解できていないデルク、どうしたらいいのか分からないクラリーベル、そして一度泣き止んだのに再度涙目になっているリーリンの三人
「……本当に、どうなっているんだ?」
途方に暮れたデルクの声が、空しく響いていた
(はぁ。まったく、あの人のせいで今日は疲れました)
日も暮れてきた夕刻、クラリーベルは街の中を歩きながら帰路に着いていた
あの後とりあえずデルクに事情を話し、アルシェイラが買ってきたお菓子を子供たちで食べいつも通りに時間を過ごした
アルシェイラはもう戻ってこないのがせめてもの幸いだろう。サヴァリスがどうなったのかは知らないが
そんなことを思いながら、それにしても、と思う
(私についてのことが書いてないって、どういうことですかレイフォン!!!)
思い出して憤慨するのは手紙の件。あの後頼んで読ませてもらったのはいいのだが、自分ことが書かれていなかったのが腹立たしい。サヴァリスの事は書いてあったというのに、一体どういうことだというのか
いや、正確に言うならば書かれてはいたのだ。ただ、サヴァリスさん“達”という風に。間違いなく、それは自分も含んでいるのだろう。だが自分の名前が無く、サヴァリスが主立っているようなそれが、クラリーベルにとってはどうしても気に障る
(くぅ……彼にとって、私は未だその程度の印象でしかないのでしょうか……? それに、ニーナという人が羨ましいです)
一通目、二通目も読ませてもらったのでどういった人物なのかは分かっている彼女に、クラリーベルは対抗心を抱く
シュナイバルにある武芸の名門の娘。そんなことはどうでもいいが、レイフォンに教導を受けているという事が、彼から直接にその技術を教えられ、刃を交わしているだろうことがどうしようもなく羨ましい
今こうしている間もその少女はレイフォンと戦い、その力を練磨しているだろうことが羨ましい
自分とて天剣であるギャバネスト卿に直接に教えを乞うているし、レイフォンを追っていた時から繋がりで暇な時にサヴァリスに手合わせしてもらうこともあるが、それとこれとは別の話なのだ
(かくなる上は実力を上げ、戻ってきたときに存分に相手をしてもらいましょうか)
楽しげながら、どこか凄惨に口元を歪めながらそう心に決めて歩き続ける。そんなクラリーベルは暫くし、久しぶりに来た感覚に気づく
(これは……あいつらですか。丁度いい、練習台になってもらうとしましょう)
その思いのままに、クラリーベルは急ぎ街の中を駆け抜けていった。屋根の上を走り、極力目立たないようにしながらも目立つ場所駆け抜けながら目的の場所までかける
いつ
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