閑話 一
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授受者の本気を出されるのまずいとクラリーベルは止める。そうしながら一つの疑問が浮かぶ
(記憶を失ってない……んでしょうか?)
ほぼ間違いなく、今回の様な事に関わった人物は痕跡が消えるのと同時に記憶を失う。だが、サヴァリスにその様子はない
(実際に自分としての意識を持ったまま戦ったから? それとも関わる前からすでに知識があり、関係者の系譜であったからでしょうか……? 実際、私が関わっているのも血の濃さ、血統故でしょうから天剣授受者という才能を生む血の濃さ、それプラスの知識などがあったため? 痕跡などが戦った後戻る、というのを見ると、前からの繋がりがあったために消えなかったと考えるべきでしょうが……。ま、今考えても仕方ありませんか)
そう結論付け、クラリーベルは思考を打ち切る
関係があるものは失わず、無いものは失う。それで十分だと思いながら納得する
そして再度サヴァリスに視線を向け、気づく
「……その腕、どうしたんですか?」
見ればサヴァリスの右手には包帯が巻かれ、添え木もしてありどう見ても折れている。そういえばさき程から、右腕を一切使っていなかった
今この時になっても治っていないだろうことから、先ほどの中で負ったもので無いことは確かだとクラリーベルは断定する。そもそもあの程度の相手に天剣が傷を負う訳もないのだからそれも当たり前だろう
そのことについて聞かれ、サヴァリスは少し答えづらそうに答える
「昼頃に、陛下に飛ばされたことがありましたよ」
「え、ええ」
恐らく、シノーラと名乗っていたのに陛下と呼ばれそうになり、いきなりサヴァリスの姿が消えた時の事だろうと思いながら続きを促す
「あの後、私は可愛いシノーラちゃんだとか、胸には夢が詰まってるなどと良く分からないことで陛下にお叱りを受けましてね。その際の折檻で折られました。服の下は怪我だらけですし、飛ばされた時ので肋骨にも確か罅が入ってます」
「え?」
「夕方にクラリーベル様を街で見たのも、病院に行った帰りだったからですよ」
「」
また勝てませんでしたね。ハハハ、と笑うサヴァリスにクラリーベルは言葉が出なかった
「以上が結果だ」
「確かに“眼”の持ち主がいましたか……確認、助かりました」
「この程度のことならば、いくらでも受けよう」
「ええ、そういってくれると私も嬉しいですよ。では、またいずれ」
「ああ、偉大なる母よ。いずれまた、言葉を交わすその時まで」
そうして最強の一角が関われぬはずの世界に関わり、ヒロインは自分たちの主についてのことを再認識し、四足の獣が初めてのお使いを果たし母に褒められながら、グレンダンの日々は続いていく
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