閑話 一
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がある、と」
その言葉は真実だ。事実、そのことを知っているだろう人物など、考えられる限りクラリーベルには王家の人間しか思い当たらない。それに、それも王家の全員ではなく一握りの人物だけだし、狼面衆と戦っている者などミンス以外には知らなかったし、そもそも普通の人間には関わることさえ出来ないといって言い
だからこそ、サヴァリスがある意味で関係者であるという事にクラリーベルは驚く
「御伽噺も馬鹿にしたものではありませんね。この程度の相手はたいしたことありませんが、こちらの戦いには、もっと強い相手もいるのでしょう?」
狼面衆程度の相手では気に掛ける意味などない。だが、そんな世界があることが、そしてこれ以上の存在がいるだろうことが知れたのが嬉しく、サヴァリスは嗤う
「イグナシスに伝えなさい。この程度では、僕たちに届くことなどありえないと」
そう言い、サヴァリスは手に力を入れる。グチュ、という音と共に狼面衆最後の一人は喉をもぎ取られ消えていった
「……彼らがいる。ということは廃貴族、そしてこの都市の真なる意思と呼べる存在がいる、そしてその先があるだろうという事。実に面白い」
「それにしても、サヴァリス様が知っていたとは驚きましたよ」
「ええ。僕も御伽噺が実話だったと知って驚いていますよ。……聞きたいのですが、クラリーベル様の他にも誰か関わっているんですか?」
「ええ。陛下やおじい様などは知っていると思いますよ。ただ、私が実際に戦っているのを知っているのはミンスだけです」
「彼が?」
「ええ。私と同様に何度か戦っています」
その言葉にサヴァリスは驚く。何せ、ミンスについて彼が知っていることなど謀反の時の事しかなく、ロクな力を持っていないという印象しかないのだから
すこしミンスに対する意識をあらためながら周囲を見渡し、サヴァリスは気づく
「……そう言えば、この跡はどうしたものでしょうね」
自分が放った一撃のせいか、周囲の地形が変形してしまっているのを見てサヴァリスは溜息を吐く
「ああ、それなら大丈夫ですよ」
「? それはまたどうして……」
クラリーベルの返答に疑問の声を上げながらサヴァリスは周囲を見渡し、気づく
「ほう……これはこれは」
見渡したそこに既に跡はなく、何事もなかったかのように綺麗に痕跡が消えてしまっているのに気づき、感嘆の声を漏らす
「なるほど、これでは気づきませんね。となると、今までも面白そうなことが起こっていたという事ですか。そう考えると損していたとも思えますが、まあいいでしょう。……それにしても本当に跡がありませんね。これなら全力を出してもよさそうだ。色々と試せますね」
「いえ、流石にそれは止めて下さい」
いくら戻るとはいえ、天剣
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