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神々の黄昏
第一幕その二

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第一幕その二

「その泉で水を飲み片目を支払い」
「そう、そうして」
「それによって変わった」 
 後の二人も話していく。
「その神ヴォータンによって」
「世界は変わった」
「そう、彼が変えたのです」  
 ウルズはここでまた言った。
「トネリコの神木から枝を一本切抜き槍を作った」
「あのグングニールを」
「それを」
 それをだというのである、
「大樹は長い歳月の間に弱り葉は色褪せて落ち」
「全てはヴォータンが大樹から槍を作ったことによって」
「それで」
「大樹は枯れてしまった」 
 そうなったと語られていく。
「泉の水も枯れてしまった」
「その代わりにヴォータンが立った」
「神々の王として」
「その深い叡智と共に」
 それが彼の力、権力だったのである。ユグドラシルに代わったのである。
「そして今は」
「そう、今は」
「大樹もなく」
 二人も言っていく。
「時の綱を作るのには樫の木で」
「それを使わなければならない」
「その通りです」
 まさにそうだと話すウルズだった。
「さてヴェルダンティ」
「ええ、姉さん」
「次は貴女よ」
「私が」
「私は過去を司る時の女神」
 彼女はそれだという。
「そして貴女は」
「私は現在の女神」
 それだというのである。
「その私が」
「そう、貴女が」
 まさに彼女がだというのである。
「次は」
「それなら」
 その言葉を受けてであった。ヴェルザンティは静かに話しはじめた。
「私が」
「ええ、お願い」
 こうしてヴェルザンティが話しはじめたのであった。
「そのヴォータンは」
「ええ、彼が」
 ヴェルザンティのその言葉を受けて交代したのだった。
「その槍の柄に熟慮を重ね」
「そう、そして」
「そこに」
「古代文字の誓約の文字を刻み」
 そうしたというのである。
「この世界を支配する証とした」
「そうでした」
「かつては」
「そしてその槍を」
 ヴェルザンティのヴォータンへの言葉はさらに続く。
「ある大胆な勇者が打ち砕いた」
「戦いにより」
「粉々に」
「そう、砕いてしまった」
 そうしたというのである。
「誓約の神聖な文字もその時に砕かれてしまいました」
「永遠に」
「彼のその証が」
 ヴェルザンティの言葉は今は過去を話していた。現在の女神ではあってもだ。

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