黄巾の章
第20話 「貴方は、悲しみを背負う……ただの『人間(ひと)』なのだから」
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るところを見ると……生きているようだ。
(……とりあえず、こっちが先だ)
俺は頭を振りつつ、子供に近づく。
その子供は、瞳孔が開いた目でブツブツと呟いていた。
「……くが悪いんだ。だからお兄ちゃんの頭がないんだ。僕が悪いんだ。だからお兄ちゃんの……」
?
何か精神的ショックでも受けたのか?
俺は子供の肩を掴もうとする。
と――
ビクッ、と震えた子供が、瞳孔が開いた目でこちらを見た。
「っ!?」
その目は、何も見ていない。
ただ、瞳孔が開いて……濁ったような目をしている。
「お兄ちゃん? あれ? 頭ある?」
「え……?」
子供が壊れたように笑う。
「きゃはははは。お兄ちゃん、首ない。頭ない。あれ? なんでないの? あるよね? あれ、血だ。どうして血なのに真っ黒なの?」
「……っ」
――壊れている。
「僕が見ちゃったからお兄ちゃん死んじゃったんだよね。僕が悪いんだ。僕が……あれ? 僕って誰? お兄ちゃん誰? あれ? あははははは」
この子の兄が……死んだのか。
「お姉ちゃん助けなかったから? お兄ちゃんも死んじゃった? あは、あははは、あははははははははははははははははははははははは」
この子の……兄が。
「殺されちゃった……『バケモノ』に」
「!!」
…… ザッ …… ザザッ ……
痛っ……
…… ザッ …… まえが殺した ……
えっ?
…… ザッ …… ナンバー五五 …… 殺すんだ ……
おれ、は……
…… ころせ …… バケモノ ……
や、やめろ……
…… 殺せ …… お前と同じ ……
い、いやだ!
…… ナンバー五六を ……
あ、あああああああ……
…… 北郷一刀を …… 殺せ ……
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
―― 劉備 side ――
私は、その場に跪いて、彼の首を手にとる。
彼は……あの少年の兄は、驚愕に眼を見開いたまま、息絶えていた。
「ごめんなさい……」
私の眼に、涙がつたう。
守れなかった。
幼い二人の少年だけは、何とか守ろうと思ったのに……
私は、あの時助けを求めた際に見た、彼の顔を思い出す。
助けるはずだったのに……
助けを求めてしまった私。
(情けない……)
私は、彼の頭を胸に抱きしめた。
(ごめんね……弱いお姉ちゃんで……ごめん
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