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神々の黄昏
第一幕その十五
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第一幕その十五

「そして気高い輝き、全てが神々の永遠の幸福よりも優れた値打ちがあるものなのです」
「では姉さんは」
「この指輪はジークフリートからの愛」
 まさしくそれだというのだ。
「何よりも素晴らしくかけがえのないものなのだから」
「愛が」
「そう、愛が」
 まさしくそれがだというのだ。
「ですから私は」
「その指輪を手放さないと」
「神々に告げなさい」
 有無を言わせない言葉だった。
「私の指輪について言うのです」
「その指輪について」
「私は愛を捨てません」
 まさにそうだというのである。
「神々も愛を奪うことはしないでしょう」
「その愛を」
「そう、例えヴァルハラが」
 今の彼女にはそれも何の感慨もないものだった。
「その燦然たる宮殿が廃墟の様に崩壊しようともです」
「そんな、では本当に」
「帰りなさい」
 またしても有無を言わせない言葉であった。
「そして伝えるのです、私の今の言葉を」
「完全に人間になってしまったのね」
「そうかも知れません」
 それを否定しない彼女だった。
「私達もまた」
「否定しないというのね、本当に」
「愛を捨てろといわれるのなら」
「そう、わかったわ」
 この上なく無念な顔で頷いたワルトラウテだった。
 そうして。悲しい顔で姉を見てであった。
「さようなら、永遠に」
「ええ、これで」
 去るしかなかった。彼女を見送ったブリュンヒルテは一人そこにたたずむ。妹が去ったその空を見ながら一人呟いた。
「この炎達に覆われながら」 
 ローゲの炎にである。
「私はジークフリートを待つ。あの人が帰って来るまで」
 そのつもりだった。しかしである。
「!?」
 異変を察したのである。
「炎が猛り狂って岩を嘗めている」
 そうしていると感じたのだ。
「ジークフリートが帰って来た!?けれど」
 違うと直感した。そうしてだった。
 武装した男が来た。その外見はジークフリートのものではなかった。
 軍服ではなくスーツだ。それで武装していたのである。
 その彼を見てだ。ブリュンヒルテは即座に叫んだ。
「誰!?一体誰なの?」
「ブリュンヒルテよ」
 声もグンターのものだった。
「一人の男が炎を恐れず妻を求めに来たのだ」
「まさかあの炎を」
 ブリュンヒルテはまずそのことが信じられなかった。
「ジークフリート以外の一体誰が」
「貴女を求めてやって来た男だ。何があろうとも」
「何故、どうしてここに。誰が」
「ギービヒ家の者でグンター」
 その彼の名前を口にしてみせた。
「それが私の名だ」
「何ということ・・・・・・」
 ブリュンヒルテはその名乗りを聞いていなかった。他のことを呪うのだった。
「ヴォータン、恐ろしく残酷
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