暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス IFの物語
十四話
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
父に会った際に言われた言葉

???良く、力をつけたなニーナ。良き武芸者となれ

 自分を思う気持ちが込められたその言葉に、その違和感が痛みだと、そして痛みの理由に気づいた

???武芸者とは都市と民を守るもの。あなたはこの仙鶯都市を守る、立派な武芸者に成られるお方です

 何度となく言われてきた言葉。“都市を守る”というその気持ちに対して抱いた疑問と不安
 外から植えつけられたものを自分の物だと思い込んでいるだけだと思い、自分の気持ちを確かめるのに外の世界に出ようと思った。それは同時に、自分に罪悪感に近い気持ちを抱かせた
 自分の行動に対する躊躇いを、周囲に対する罪悪感を生ませた
 そしてそれは今日、聞いたシンラの過去の話で決定的になった
 だから、レイフォンに聞いた。その根底にあるものを知りたかったから。自分の後押しが欲しかったから

「食糧が配給制になって、それでも無理があって、たくさんの餓死者が出ました………元々裕福じゃなかった僕の孤児院でも死にました」

 そうして聞かされる話はニーナの想像を超えていた
 無意識になのか、右手の包帯を巻かれた部分を左手で抑えながら話すレイフォンの話に声が出ない
 たくさんいる電子精霊は都市内の環境維持に貢献し、疫病に悩まされたことなどない。シュナイバルは誕生時より食糧危機になったことなどない。だからそんなこと想像したことなどなかった。それが当然だと思っていた
 お腹がすくことはあっても、家の大人に言えば直ぐに食べ物は手に入った

「寒い夜一緒に毛布にくるまった弟が、傍に居たはずなのに、朝目が覚めたら体が冷たかったんです。寝坊したと思って何度も声を掛けたのに、いつもの声が返ってこなかった。眠った顔のまま養父の腕に運ばれていった後、その日だけ食べ物が一人分増えた」

 身近な死を感じたことなんてない
 会わなくなった人はいても、少し離れただけ。会おうと思えば会える

「孤児院の外でも、足りない食べ物を争う盗みや暴動がよく起こりました。近所に住んでいた面識のあった老夫婦が、ある日死んだことを告げられることもありました。次の日が怖かった」

???どうして?
???どれだけ豊かでも、おれのとこまでそれが来ないんじゃ話にならねぇ

 ふいに思い出すのは昔のこと。十歳の時に会った電子精霊を盗もうとした武芸者の言葉
 あの時は意味が分からなかった。裕福で苦労を知らなかった自分は想像も出来なかった。だけど、もしかしたらどうしようもない事情があの武芸者にもあったのだろうか
 それを判断できるだけの経験が自分にはない。これだけのことを無表情で話すレイフォンに恐怖さえ抱いてしまう

「……お金がたくさんあれば少しは楽になった! 食べ物を買えた!! ……都市全体で食べ物
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ