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鋼殻のレギオス IFの物語
十四話
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意識がブラックアウトしかけたがなんとか気を失わずに済み、すぐさま病院に連絡を入れようとしたニーナをレイフォンは止めた。それを受けてニーナはすぐさま家の中から包帯などの医薬品、ついでに家に来ていたハーレイを手伝いに連れて戻り今に至る
 傷はそれなりに深いが、既に血の流れは止めた

「……済まないな。鍛錬していたことに気づかずに近寄ってしまって」
「いえ、制御が甘かった僕が悪いんですので気にしないで下さい」
「しかし、目を凝らせば見えたはずだ。レイフォンの剄に気づいていたというのに……」
「時間に気づかなかった僕も悪いんです。自分の未熟な所に気づけたので、ある意味じゃいい経験です」
「しかし……」
「ストーップ。それ以上言ったって先に進まないんだから終わり。こう言ってくれてるんだからニーナもそんなに落ち込まないの」
「そうして下さい。……それじゃ、そろそろ始めましょう」

 ハーレイの言葉に賛成し、続けていった言葉に二人が驚く

「いやいやいやいや、何言ってるのレイフォン!?」
「そうだ、その傷でなど……」
「いえ、もう血は止まってますし、左手は無事何で大丈夫です」
「ダメだよ。今日は激しい運動は禁止」
「でも、それだったら基礎鍛錬位なら……」
「それ位なら私一人でも出来る。レイフォンは休んでいろ」
「いえ……でも……」
「……言いたいことがあるなら言え。どうしてそうも強情になる……」
「……ニーナ?」
「理由があるなら、そうしたい理由があるなら言えばいい……そんな怪我をしても続けようとする訳を私に教えてくれ……」

 いつもと違い、顔を俯け尋ねるニーナにハーレイは疑問の声を上げ、レイフォンは不思議に思いながらも曖昧な思いを口に出す

「その……何もしていないのが嫌なんです。しばらくの間怪我で来られませんでしたし。それに、元々この町に来た理由の為のことを、その為にすべき時間に、今までしていた時間に何もしていないというのが嫌なんです。多分……自分が、何も出来ていないように思えるので」
「……確か、出稼ぎだったっけ?」
「はい」
「大変だよねぇ……。僕なんか自分がしたいことしてるだけで、そんなこと考えたこともないや」
「……なあ、レイフォン……」
「はい?」

 静かな声にそちらを向けば、ニーナが俯けていた顔を上げ、険しい顔をしてこちらを見ている
 だがその声には険しさは無く、何か迷うようなものが混じっているようにも感じられる

「お前は……どうしてそこまでするんだ? 何があってそんなことを思うんだ?
……孤児院だというのは聞いた。出稼ぎだとも聞いた。だが、今のそこまでの思いを抱くというのが分からない。何か他に有るように思えてしょうがない……。よければ聞かせてくれないか……都市を出てまでもする
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